札幌市の円山動物園で、2015年5月から絶滅危惧種のコツメカワウソ、マレーグマ、グラントシマウマが死んだ。人気者の動物たちの相次ぐ死に、札幌市は改善戒告を出した。園が改善計画を提出した2日後の15年8月30日に、今度は園のシンボル的存在だったマサイキリンが急死した。
ネットでは全て園側の管理運営の悪さから起こったものだとして「連続殺獣事件」などと批判が噴出している。
「市民を喜ばせようとしたチャレンジ精神が裏目に出た」
動物たちの死因は以下の通りだ。15年5月3日に死んだコツメカワウソのオス(9か月)は水槽の取水口に足を吸い込まれて窒息死した。来園者が溺れているのを見つけ獣医が駆け付けたが間に合わなかった。7月25日はメスのマレーグマ(推定30歳以上)がオスのマレーグマから襲われたことが原因で死亡した。8月23日はグラントシマウマの雄(6歳)が10月オープン予定の新施設「アフリカゾーン」への輸送中に死亡した。原因はストレスで、肺に水がたまる肺水腫になったとされている。
札幌市は円山動物園に対し、8月21日にマレーグマの死亡事案に係る改善勧告を行い、園は28日に飼育マニュアルの見直しや獣医を1人増やして4人態勢にするといった改善計画書を提出した。2日後の30日に、メスのマサイキリン(11歳)が胃の内容物が気道に入る誤嚥(ごえん)によって死んでしまった。
どうしてこうも動物たちが立て続けに死んでいくのか。15年9月1日の朝の情報番組ではこうした謎についての特集を組んだ。フジテレビ系「とくダネ!」のキャスター・小倉智昭さんは、
「動物には死が付き物だから、立て続けに来ちゃうのもあるのかもしれない」
と語った。同番組のコメンテーターを務める国際ジャーナリストの竹田圭吾さんもたまたま時期が集中した可能性もあり、他の国の傾向と比較して考える必要がある、としたうえで、
「これだけ閉鎖性の強いところで飼っていること自体がそもそもストレスを全体に与えている。自治体の問題や園の問題だけでなく、見に行く私たちの問題と捕らえないとなかなか問題は解決しない」
と指摘した。番組では田中俊成園長がインタビューに応じ、「飼育方法に問題は無かったのか?」という質問に対し、
「入園者数を増やすのは二の次で、動物の安全と、本当にお客様に楽しんでもらえるような動物園にしなければならない」
とだけ答えていた。
テレビ朝日の「モーニングバード」では動物研究家のパンク町田さんがコメントを寄せ、一連の動物死亡について、コツメカワウソの場合は、取水口の穴が大きい「設計上のミス」だとした。グラントシマウマは「ストレスへの配慮不足」、マレーグマとマサイキリンは「自然界でもあること」だとした。
そして、
「円山動物園はトップクラスの飼育技術を持つが、市民を喜ばせようと様々な工夫をしようとしたチャレンジ精神が裏目に出た」
とパンク町田さんは同情していた。