「ネットの電話帳」、プライバシー侵害で提訴される 電話帳側「削除依頼は例外なく受け付けない」

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   NTTのハローページに掲載されていた日本全国の電話番号や氏名、住所をデータベース化して無料で検索できるWEBサイト「ネットの電話帳」が、プライバシー侵害にあたるとして提訴された。

   掲載されている情報の削除請求について、ネットの電話帳は「掲載情報の削除依頼は例外なく受け付けない」という方針で、請求を突っぱねている。

  • 「ネットの電話帳」裁判所は、どう判断する?
    「ネットの電話帳」裁判所は、どう判断する?
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「裁判コストに見合わない」ことから訴訟はめずらしい

   「ネットの電話帳」はもともと「住所でポン!」の名称で運営されていた。NTTの電話帳(ハローページなど)のデータをインターネット上に掲載し、これまでも「個人情報保護法違反ではないか」との指摘を受けていた。

   提訴の代理人は京都の島崎法律事務所。島崎哲朗弁護士が2015年8月14日付のブログで、「本日、『ネットの電話帳』をプライバシー侵害で提訴しました。」と明かした。

   ブログによると、ネットの電話帳が情報を掲載している結果、「電話帳には自宅の電話番号を載せていないはずなのに、第三者に電話番号を知られて執拗に電話をかけて来られるなどの被害が続出。なかには、自宅にまで押しかけて来たりといった、ストーカーまがいのことをされて困っている方もあるようです」としている。

   島崎弁護士は、「ネットの電話帳への情報の削除請求は今回が初めてですが、まだ3、4件の問い合わせがあります。相談してくる人は掲載されていることへの不安、またどのような相手が運営しているのか、顔がわからないことへの不安や嫌がらせを受けたりする心配などもあって、悩みが増しているようです」と話す。

   訴訟に及んだケースはめずらしいようで、「住所・氏名・電話番号」の削除請求に詳しい、IT弁護士の神田知宏氏によると、「削除依頼は、年間10件あるかないかくらいです。『2ちゃんねる』などの削除依頼に来た依頼者が、『そういえば、ネットの電話帳にも住所と電話番号が出ている』という話をすることがあります」と話す。

   訴訟に及ぶケースが少ないのは、「コストに見合わないと考える人が多いため」とみられる。神田弁護士によると、「『2ちゃんねる』などの削除依頼で相談に来ている人にとっては、誹謗中傷や、より重大なプライバシーの削除が優先で、『ネットの電話帳』に出ている情報の削除は追加費用をかけてやるほどの優先順位はないのかもしれません」という。

   また、島崎弁護士も「訴訟については、家族の反対や裁判費用との兼ね合いを考えて、ためらうようです」と話している。

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