ソフトバンクグループのナンバー2、ニケシュ・アローラ副社長(47)。2014年9月に就任。移籍にあたっての契約金145億6100万円、株式報酬の19億9500万円を含め、15年3月期の報酬として、破格の165億5600万円を得たというからモノ凄い。
同社の有価証券報告書によれば、孫正義社長(57)の役員報酬が年間1億3100万円。それを大きく上回り、日本の企業が外国人幹部に支払った役員報酬としては過去最高とみられる。
アローラ氏に、米国で戦略投資子会社を用意
ニケシュ・アローラ氏は、インドの名門バナーラス・ヒンドゥー大学の出身。米国に留学してノースイースタン州立大学で経営学修士(MBA)を取得。2004年にグーグルに入社し、ビジネス部門の最高責任者を務めていた。
2014年7月に米グーグルを退社。孫正義社長に請われ、同9月にソフトバンクの「バイスチェアマン」に就き、15年6月19日の株主総会では、孫社長が最高経営責任者(CEO)、アローラ氏が副社長兼最高執行責任者(COO)という体制を発表。孫社長はアローラ氏を「わたしの後継者の筆頭候補」と、改めて紹介した。
アローラ氏は米国にある同社の戦略子会社で、海外でのM&A(企業の合併・買収)を担う、ソフトバンク・インターネット・アンド・メディア(SIMI)の最高経営者(CEO)でもある。SIMIは14年9月の設立。いわば、アローラ氏を迎えるために用意した投資子会社ということらしい。
SIMIは、14年11月のインドの通販ネット最大手、スナップディールに約680億円を出資したのを皮切りに、インドで配車システムを手がけるANIテクノロジーに約230億円を出資。インドの不動産仲介サイトのロコン・ソリューションズに約110億円を出資した。いずれも筆頭株主になり、どれもアローラ氏が提案した投資案件だったという。
孫社長が高く評価しているのは、こうしたインドでのM&A実績とみられる。
孫社長は2014年10月にインドを訪問した際、モディ首相などの要人と会談。インドに今後数年間で100億ドル(約1兆1000億円)を投資する考えを表明しており、インドの情報通信や電子商取引の分野に強い期待を示していたという。
インドについては、決算会見でも「インドは13億人の人口のうち、25歳未満の人口が約5割。学校教育は英語で、若い人は英語を話す。ソフトウェアエンジニアも世界最大。これらの要素が中国のファンダメンタル(経済の基礎的条件)よりも強い」などと述べ、並々ならぬ事業意欲を抱いているようだ。アローラ氏が強く請われたのもインド出身ということが大きいのかもしれない。
アローラ氏が率いるSIMIは、インドの案件のほかにも、わずか半年間に米映画会社やインドネシアのインターネット通販、シンガポールや中国の配車サービス会社に投資した実績をつくっている。
「47歳で165億も稼いでる奴がこの世にいんのか!!」
そういったことからか、孫正義社長は2015年8月6日の決算会見で、ニケシュ・アローラ副社長について、「半年で(報酬費用を)回収できた。安い買い物だった」と、評価した。
孫社長はその場で、アローラ副社長がインドのIT企業などに実施した株式投資の評価益がすでに500億円を超えたことを明かし、「ニケシュをM&Aしたと思えば、十分にお釣りが来たといえる」と話した。
インターネットには、
「一から自分でやって築きあげる人と、地盤が固まった場所で活躍できる人はまた違うのでは? まあ一般人には解らない世界なんだろうけど」
「47歳で165億も稼いでる奴がこの世にいんのか!!」
「次元が違うよなww 160億あったら確実に辞める。まぁ、そう考える奴はそもそも億単位を稼ぐことはないんだけどねww」
「雇われの身で165億なら辞める理由がないだろ」
「幹部ひとりに165億円もの報酬を払う会社の社員は、どんな気持ちなんだろうな」
といった驚きや羨望の声が寄せられている。
とはいえ、孫社長は「安い買い物だった」というが、ホントにそういえるのだろうか――。
企業アナリストの大関暁夫氏は、「期待値込みなのではないか」としたうえで、「よほど気に入っているようなところはあるのかもしれませんね。ただ、孫社長はいわば投資家です。マネジメントをアローラ氏にまかせることで、より斬新なアイデアが生まれ、より多くの利益を得るための施策が打てると判断したのではないでしょうか」と話している。