月や火星の探査では大きく後れた
日本は「はやぶさ」のイトカワ着陸とサンプル採取・帰還の成功で、小惑星探査では世界を一歩リードしているものの、月や火星の探査では大きく後れをとっている。月探査では月周回衛星「かぐや」が2007年から2009年、月表面の詳細な探査を実施したが、着陸は未達成のまま。火星については、火星探査機「のぞみ」が2003年に周回軌道への投入に失敗して以来、研究がストップしている。
このため、政府は「JAXAを中心とした官民のオールジャパン体制を構築し、海外から優れた研究者を招聘し、アジアにおける宇宙探査研究の中核を目指す」という。
2019年度を目途に月面着陸を実施した後は、無人機で月表面の科学探査、資源利用可能性調査を実施する計画だ。「月の南極と北極周辺は水氷が存在する可能性があるほか、半年以上の連続日照や80%以上の日照率が得られることから、エネルギー確保の観点からも重要」という。
この月南極探査について政府は「日米協力も視野に、我が国が最優先で取り組むべき領域」と位置づけている。「日本は民間企業や大学が有する世界最先端のエネルギー技術、ロボティクス技術、自動走行・自動作業技術、人工知能などで優位性があり、効果的、効率的な開発が可能だ」(政府関係者)との自負もある。
自民党は今後10年間で官民合わせ5兆円(年間5000億円)の宇宙開発予算を関係省庁に求めており、「安全保障、産業振興、科学技術の観点から国家戦略として宇宙開発を進めるべきだ」と主張している。果たして日本は公約通りの成果を発揮できるのか。