背景に「シルバー民主主義」
そもそも政府が抜本改革を怠ってきたことが、現在の異常な世代間格差を招いたといえる。その背景にあるのが「シルバー民主主義」だ。高齢化が進めば、高齢の有権者の比率が高くなる。政治家が選挙で当選したいと思えば、高齢者の気に入るような政策を重視するしかなくなり、結果的に、社会保障制度の給付削減など高齢者の負担増につながるような改革に踏み込めないのだ。
とりわけ、高齢者ほど投票率が高いことを考えると、「シルバー民主主義」の問題は一筋縄では解決できないということになる。
6月に成立した改正公職選挙法では、選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。新たに有権者になるのは約240万人で、全有権者の2%。もちろん高齢者層の中でも格差が広がり、貧困層が増えているとされ、高齢者の負担を増やせばいいと、単純には言えない。
それでも、若者が声をあげる機会が増えたことで、世代間格差の解消を真剣に議論する契機になる期待がある。若者がどれだけ選挙に足を運ぶか、今後の日本の「民主主義」の動向を占う大きなポイントになる。