世界ビール生産量が30年ぶりマイナス こんなところにも中国「倹約令」が影響

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   国内でビール離れが進むなか、2014年の世界のビール生産量も30年ぶりに前年を下回った。世界最大のビール生産国・中国が「倹約令」の影響などで需要が減少したのが響いた。

   キリンが1974年から続けているビール生産量調査で判明した。

  • ビール消費大国中国の「倹約令」が世界の生産量に影響
    ビール消費大国中国の「倹約令」が世界の生産量に影響
  • ビール消費大国中国の「倹約令」が世界の生産量に影響

前年比0.5%の微減

   それによると、調査対象となった世界171か国・地域の生産量は約1億9100万キロリットルで、1984年以来30年ぶりの前年割れだった。想像しにくい量だが、お馴染みの東京ドーム換算でドームをジョッキに見立てた場合、154杯分(東京ドーム1杯分は124万キロリットル)に相当するという。

   30年ぶりの前年割れとはいえ、前年比0.5%の微減に過ぎず、キリンは「ほぼ前年並みだった」と説明する。ただ、この30年にわたって世界のビール市場が拡大してきただけに、需要もピークを打ったのでないかとの懸念もあり、業界では消費の行方を注目している。

   国別生産量トップ10は、中国(前年比3.1%減)が13年連続1位で、2位には若年層を中心にクラフトビール人気が高まっている米国(0.2%増)が続き、3位ブラジル(5.0%増)、4位ドイツ(1.3%増)、5位メキシコ(0.0%)、6位ロシア(8.2%減)、7位日本(1.1%減)、8位イギリス(1.8%減)、9位ポーランド(0.8%増)、10位ベトナム(9.0%増)となった。

   ビール離れが叫ばれつつも日本は12年連続の7位を記録。トップ10は昨年と同じ顔ぶれだったが、ロシアは酒類への増税などが影響して急減し、メキシコと順位が入れ替わった。

   また、上位25か国で10年以上生産が増加しているのは、ナイジェリア(16年連続)、ベトナム(14年連続)、インド(12年連続)の3か国だった。

アフリカは14年連続で増加

   世界生産量が減少したのは、景気減速や倹約令の影響で需要が落ち込んだ中国の生産減が響いた。倹約令は習近平指導部が公務員の腐敗撲滅のために進めており、その動きは国民にも浸透、贅沢を戒める風潮が中国国内で広がって消費が控えられるようになっている。飲酒も例外でないというわけだ。

   一方、倹約令のあおりで国外での消費に走る中国人も増加しており、日本の訪日中国人の「爆買い」も倹約令の反動との指摘もあるほどだ。

   新興国でもブラジルやベトナム、インド(0.5%増)などは好調。ブラジルは「2014年にサッカーワールカップが開催されて需要が伸びた」(キリン)のが大きい。それでも、中国の減少分をカバーし切れなかったようだ。

   地域別の構成比ではアジアが33.9%(1.7%減)で6年連続1位、ヨーロッパ27.0%(1.7%減)、中南米17.2%(0.7%増)、北米12.8%(0.1%増)、アフリカ7.3%(5.2%増)などと続いた。アフリカは14年連続で増加しており注目の市場となっているほか、需要増が望めるベトナムなど新興国では、グローバル展開を進めるビール大手が工場を設置するなど投資も続いている。

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