ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」が不定期で開催しているドーナツ100円セール。今回は2015年8月18日から8月24日にかけて行われ、10種類が100円になった。
買い物客で行列ができる大好評企画だが、決まって話題になることがある。それは「小っちゃくなってないか?」というものだ。中にはセールをする度に小さくなっている気がする、などとツイッターで呟く人もいる。ミスドはドーナツの大きさは変えていないとし、あらぬ噂だと頭を抱えている。
噂は数年以上前から続いている
ミスドのドーナツが小さくなっているのではないか、という噂は最近のものではなく数年以上前から続いている。100円セールがあるたびに買い物客が押し寄せ、その中に久しぶりに買う人もいるためか、そんな噂が繰り返し出ることになっているようだ。今回もネット上に、
「これ明らかに小さくなってるよ。この前買った時も『あれ?』と思ったけど」
「100円セールの前に小さくなるね」
「10年前と比べると明らかに小さくなっているような気がするよ。特にエンゼルクリームのホイップクリームは減った」
「小麦の値段が上がってるからな。仕方ないレベル。この程度で文句言ってるのは経済の足を引っ張る、貧乏人」
「セールのたびに変えるってのはないな。ただ、昔に比べて大きさは確実に変わってる。持って帰って皿に乗せるとわかる」
などといった書き込みが出た。
一方で、「大きさは何も変わっていない」と主張する人も 多い。小さいと感じるのは子供のころに比べ体が大きくなったからだとか、セールのたびに大きさを変えるとしたら、金型の用意などで逆にコストがかかってしまう、などと説明している人もいる。過去のドーナツと現在のドーナツの大きさを比較する資料があればいいのだが、そうしたものは見あたらない。それもあって議論はずっと平行線のままだ。
ミスドは08年にドーナツを小さくし値下げしていた
今回の議論と直接関係あるのかは分からないが、実はミスドは2008年11月からドーナツを小さくしている。
「一部商品の規格・価格を改定いたします」という内容のプレスリリースを出し、記事にもなった。商品の約2割にあたる十種類のドーナツやパイのサイズを小さくしたうえ価格は下げるというもので、ドーナツ7種類の原材料を3グラム程度減らし、パイ3種類を20~25グラム程度軽量化した。同時に従来の価格帯より安いドーナツの新商品8種類を投入し、ドーナツ1個の平均単価を6円安い119円に引き下げた。
この戦略はデフレが進む中で販売価格を下げなければ競争に勝てなくなったことと、原材料費などが上がったため販売価格の値上げが必要になったためだ。これはミスドに限らずいくつもの外食産業がこうした戦略を打ち出した。以前のミスドのドーナツを知っている人が久しぶりに買ったとすれば、小さくなったと感じても不思議ではない。
ダスキンのミスタードーナツ広報に話を聞いてみると、常に品質改良を進めているが、大きさが変わったのは08年でそれ以降は大きさが変わっていないと説明した。昔のドーナツを知っていて、それに比べて現在のドーナツは小さいと思うお客がいても不思議ではないが、大きさが変わったのは7年も前の話で、騒がれる原因は分からないと同社広報は説明した。
「作る従業員や気候、揚げ具合によって大きさが違ってきますし、許される大きさの誤差もありますが、きちんとマニュアルで指導し、均一のものを店頭に並べるということは徹底しています。許される誤差と言っても普通のお客様には分からない範囲のものです。それがなぜ小さくなったと毎回言われるようになったのかは謎なんです」