安倍晋三首相が発表した戦後70年談話に盛り込まれた、「戦争には何らかかわりのない子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」という主張に、共感した人が多いようだ。
朝日新聞の世論調査では6割以上が「共感する」と回答し、談話そのものを「評価する」という人よりも多かった。各紙の調査でも同様に支持を集めている。
「共感する」63%、「しない」21%を大きく上回る
安倍首相は2015年8月14日に発表した戦後70年談話で、争点となっていた「おわび」について、過去の談話を引用する形で言及。その上で、戦後生まれが人口の8割を超えていることに触れ、
「あの戦争には何らかかわりのない、私たちの子や孫、その先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」
と述べた。
朝日新聞が8月22、23日に行った世論調査によると、安倍首相のこの主張に「共感する」としたのは63%で、「共感しない」(21%)を大きく上回った。
談話自体を「評価する」としたのが40%にとどまったことを考えると(「評価しない」は31%)、この主張はとりわけ多くの共感を得ていたことが分かる。実際に談話を「評価しない」と答えた人の中でも46%が「共感する」と回答していたという。
同様の評価は他紙の世論調査でも表れている。産経新聞とFNNの合同調査ではこのくだりを「評価する」(66.1%)が、「評価しない」(27.7%)を上回った。共同通信でも似たような結果が出ている。
共感の背景には「謝罪疲れ」があるのでは
こうした結果が出たことは、中国や韓国などへのいわゆる「謝罪疲れ」が背景にあるのかもしれない。
読売新聞の世論調査では、安倍首相の主張にからめて「今後も日本は、謝罪を続ける方がよいと思いますか、そうは思いませんか」と質問を設定。その結果、「謝罪を続ける方がよい」(27%)よりも「そうは思わない」(63%)が多かった。
一方で中韓からの反応は厳しい。中国の国営通信社である新華社は談話を伝える記事で「安倍首相は談話の中で、日本は今後謝罪する必要がないとした」など否定的に取り上げた。また韓国の中央日報は、安倍首相の主張を「保守的な色彩」と非難する元外交官のコメントを掲載した。