原発事故の「指定廃棄物処分場」、5県の設置難航 宮城、茨城、栃木、群馬、千葉・・・住民の反対で見通し立たず

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茨城と群馬では候補地の提示すらできていない

   千葉以外は、宮城県で加美町、栗原市、大和町の3か所を候補地として調査に入ったが、地元の反発でボーリングなどの本格調査には進めない状態。栃木県で塩谷町の1か所を候補としたが住民による激しい反対運動のため調査する見通しは立っていない。茨城、群馬県では、候補地の提示すらできていない。

   唯一計画が進んでいるのが福島県。突出して多い13万トンの指定廃棄物を抱えるが、環境省は、放射性セシウム濃度が1キロ当たり10万ベクレル以下のものは富岡町にある既存の民間施設に搬入する方針を示し、地元の要望に応えて、施設を国有化することも決めた結果、処理の枠組みがほぼ固まっている。ただ、他県の自治体には、福島に集約する考えもあり、福島県側が反発し、環境省に「1県1か所」の堅持を申し入れるなど、議論が収れんする気配はない。

   実は、同じ「指定廃棄物」といっても、地域により違いがある。千葉、群馬、茨城県では下水汚泥など、市町村などの公的施設で保管されているものが大半であるのに対し、宮城、栃木県は、個人などで保管する稲わらなどが半分以上を占めている。このため、風や雨よる飛散や流出も懸念される宮城、栃木県で処分場整備が急がれる一方、千葉などは「県内に複数設置し、負担を分け合うべきだ」(健関係者)との声があるなど、一律の方針を疑問視する向きもある。

   いずれにせよ、処分場はコンクリートでしっかり囲い、放射能漏れなどを厳重に監視することになり、そのデータなどの情報に住民が簡単にアクセスできるといった仕組みが大前提になる。また、万一、風評被害が起きた時の補償のあり方を、予め明確にしておく必要もあるだろう。

   こうした点は国が第一義的に責任を持つのはもちろんだが、県内を廃棄物がさまようような事態は県にとってもあるまじき事態だけに、知事が先頭に立って自治体との協議を進めるなど積極的にかかわる必要がありそうだ。

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