「全部のビールがそうなっちゃうの?」
アルコール飲料の、ビンや缶からペットボトルへの切り替えはいまや潮流のようだ。数年前に、ワインにペットボトルが採用されたときも「ワインの味わいが損なわれる」などとペットボトルは不評だったが、最近ではすっかり定着。ワイン最大手で、キリン傘下のメルシャンのワインの一部はすでにペットボトルで、「デイリーワインを中心に、ペットボトルを使っています」という。
外見は瓶入りのワインとあまり変わらず、さわってみるとそれがペットボトルだと気づくくらいの高い品質で、こうしたワインのペットボトルも三菱樹脂の「ハイバリアPETボトル」が採用されている。
また、清酒最大手の白鶴酒造などもペットボトルを採用しはじめている。
三菱樹脂は、「技術的にはビールの容器を(ビンや缶から)ペットボトルに切り換えることは可能ですし、清涼飲料のような形状にこだわらずとも、さまざまな形状に、柔軟に対応できます」と話す。ペットボトルに入ったビールは広がっていくのだろうか――。
じつは、「ビール用PETボトル」は2004年7月にアサヒビールの商品技術開発本部・容器包装研究所が開発を発表。ペットボトルの利便性やファッション性に着目して、同社が新たなビールを発売する計画だった。
ところが、当時はペットボトルのビールが販売されることによって、「ごみが増える」「リサイクルがさらに面倒になる」「未成年にもビールが飲みやすくなってしまうのではないか?」といった反発が、主婦や環境保護団体などから殺到。結局、商品化はお蔵入りしてしまった。
そんなこともあってか、キリンビールもペットボトル容器入りの新ビールについては、「今後、慎重に検討していきたいと考えています」と話すにとどめた。
普及にはなお時間がかかるのかもしれない。