医師はしばしば患者や家族から暴言や暴行を受けていることが医師対象の調査から浮かび上がった。医師専用コミュニティサイト・メドピアの登録医師に「患者さんやそのご家族から『暴言』や『暴行』を受けた経験はありますか」と質問したところ、2015年6月15日から21日までの調査期間中に3880人が回答した。
「暴言を受けたことがある」は2327人(回答者の60.0%)、「暴言・暴行を受けたことがある」は 704人(18.1%)で、「まったくない」は 849人(21.9%)だった。
「ご臨終の宣告後、遺族から『人殺し! 』といわれた」
暴言を受けた相手は「認知症患者」「精神病患者」「酔っぱらい」、「待ち時間が長かった時」などが目立った。自由記入のコメントでは「認知症患者からはよく受ける」「救急外来はお互い初見なので、トラブルはたまにある。向こうが治療法を指定し、それを断るとトラブルになる」「夜間の救急当直中に酩酊患者から暴言を受けた」「平均年に 3~4回はある」など。
「命の危険を感じることもあり、何度か医師を辞めようと思った」という整形外科医もいる一方で、「相手が精神科患者なので、できるだけ自分が切れないよう、冷静になるよう心がける」(精神科医)、「ご臨終の宣告後、遺族から『人殺し!』といわれたことが 2回ある。甘受したが」(泌尿器科医)と我慢している医師も多い。
暴言だけでなく、暴行は「精神科では必ず遭遇する」「救急外来、精神科でアル中に殴られた」など、精神科と救急がやはり多いようだ。「殴られ、眼鏡が壊れた」(脳外科医)、「救急現場では暴言はよくある。胸ぐらつかまれることもしばしば」(家庭医)と切実だ。「何度もある。治らない患者を治療している仕事なので仕方がない」(放射線腫瘍医)と、あきらめ気味のコメントもあった。(医療ジャーナリスト・田辺功)