アートディレクターの佐野研二郎氏(43)が手がけた2020年東京五輪公式エンブレムを巡る盗作騒動が「飛び火」し、氏がデザインした東山動植物園(名古屋市)の公式シンボルマークについても「盗作疑惑」が浮上している。
だが、この件に関しては首をかしげる人も少なくない。指摘されている中米コスタリカの国立博物館の公式ロゴマークは確かに「そっくり」ではあるものの、同じようなマークはさまざまなところで使用されているためだ。
いわゆる「アスタリスク状」のデザイン
東山動植物園のシンボルマークは公募により決定したもので、2013年4月から使用されている。3つの黄色い円を重ねてかたどった「動物の顔」と、6つの緑色の円(つぼみ)を線で放射状に結んだ「植物の顔」を並べて配置しており、それぞれ東山の森に住む動物・植物の妖精を表現しているという。
似ているとの指摘があるのはマーク右側の「植物の顔」だ。コスタリカの国立博物館のロゴは水色で、大きな円の中に線で結ばれた6つの円が納まっている。これを回転させて倍率を合わせてみると、大円の中の部分が「植物の顔」にほぼ重なるという。
2015年8月12日ごろからインターネット上で話題になり、数日後には市民から情報提供を受けた東山動植物園が調査に乗り出した。18日の報道によれば、佐野氏のデザインを提案した企業に事実関係の調査を依頼したというのだ。
確かに両者は、誰もがパッと見て「似ている」と感じるものであることは間違いないだろう。だが、これを「盗用」などと指摘することには疑問の声も目立っている。これらはいわゆる「アスタリスク状」のデザインであり、同じようなマークやロゴは、さまざまなところに存在しているからだ。