「エンブレムを想起させるようなデザインは商業利用できません」。東京都内のコンビニが店内で掲示したおでんの販促ポップが、東京五輪の公式エンブレムに似ているとして、大会組織委員会からストップがかかった。
当の公式エンブレムがベルギーのデザイナーから提訴を受け、「パクリ」疑惑の真っただ中にあるだけに、組織委の言い分に対しネットでは「お前が言うな!」と大反発が起きている。
「具の配置がエンブレムを容易に想起させるものと思われます」
話題の販促ポップを作ったのはセブン‐イレブン武蔵小金井本町2丁目店。おでんのセールを告知するために制作された。
そのデザインは、まん中に縦のちくわ、左上と右下に三角の厚揚げとこんにゃく、右上に丸い大根を配置したものだった。2015年8月19日、同店のツイッターが画像を投稿したところ、「気付いた瞬間笑った」とネット上で大きな話題を集めた。それもそのはず、この構図は佐野氏がデザインしたエンブレムとそっくりなのだ。
同店の大坪正直オーナーによると、問題はないと思っていたが、「念のため」東京五輪・パラリンピック組織員会に使用を問い合わせたところ、
「具の配置がエンブレムを容易に想起させるものと思われます」
「店舗に掲示や配置するということになりますと商業利用にあたってくるので、お控えいただくことになります」
という返事がメールで戻ってきた。もともとは「常連のお客さんにいい意味で苦笑いしてもらおう」(大坪オーナー)と考えていたものだったが、どんどん話が大きくなったため、結局ポップの掲示は見合わせた。
「想起させる」の判断基準は・・・
経緯がツイッターで報告されると、ネットは大反発。
「これがダメなら佐野エンブレムもダメだろ」
「想起がダメならベルギーの劇場を想起させる五輪エンブレムもだめじゃん」
「これくらい笑って許してもいいと思う」
といった書き込みがあふれた。「パクリ」疑惑に揺れる組織委の言い分に「お前が言うな!」とブーイングがこだました。
一連のやり取りについて、組織委の広報担当者は事実だと認め、
「エンブレムを想起させるデザインを商業利用することは認めていません。エンブレムを商業利用できるのはオフィシャルスポンサーだけです」
と話す。
デザインが「エンブレムを想起させる」ものかどうかは、組織委の判断に委ねられる。仮にマネする意図がなかったとしても、似ているかどうか、という「結果」で判断するのだという。指摘しても使用を中止しない場合は「法的措置に訴える可能性もない訳ではない」という。