ガン保険は、医師の「診断」で支払いが判断される
一方、生命保険は「約款は生保各社、また終身保険や医療保険などの保険商品によって異なりますが、一般に、そもそも原発事故などを理由にする免責事項は聞いたことがありません」(生命保険協会)と説明する。
加えて、「生命保険の場合、契約期間の途中に免責事項などを変更するようなことはありません」と話す。保険金は、加入時の契約に基づき支払われることになるわけだ。
インターネットには、
「えーっ! 20年も支払い続けていたガン保険があるから大丈夫と思ってた。でも、放射能で白血病や甲状腺がんなどに罹っても、支払いがないんなら、何のためのガン保険かわからん」
「お金のない被害者はいつも泣き寝入りです。高額な医療費が払えないと生命の維持が危ぶまれるのに...」
などの記述が目立つ。しかし、そこにはどうやら誤解があるようだ。
たしかに、約款には保険金の支払義務を負わない免責事項として、戦争や地震、津波、噴火などのケースが記載されているものの、東日本大震災のときも、国内のすべての生保が保険金の支払いに応じている。
ある生保会社は「約款には支払わないケースが記載されていますが、これまで免責事項を適用したケースはないと思います」と話す。
保険商品に詳しい、ファイナンシャルプランナーでジャーナリストの鬼塚眞子氏は、「死亡保険も、医療保険も、原発事故が原因でも保険金は基本的には支払われます」という。
死亡保険の場合は、病気に罹った原因が何であろうと、死亡したことに対して保険金が支払われるので、告知義務違反でない限り支払わる。同じように医療保険も、「たとえば、ガン保険の場合、がんに罹った原因ではなく、医師の『診断』で支払いが判断されますから、保険金は支払われます」と話す。