「もう一度マウンドへ」平成の怪物・松坂の決断 答えは来年「春のセンバツ」の時期に

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   ソフトバンクの松坂大輔(34歳)が右肩を手術。2015年8月18日に球団が発表したものだが、実戦登板まで半年かかる見込みだ。

   現役続行への意欲を示した決断だった。

  • 来年こそは日本で復活登板となるか(写真はメッツ時代 写真:ZUMA Press/アフロ)
    来年こそは日本で復活登板となるか(写真はメッツ時代 写真:ZUMA Press/アフロ)
  • 来年こそは日本で復活登板となるか(写真はメッツ時代 写真:ZUMA Press/アフロ)

投手でなければ分からない痛み

   松坂が右肩に異常を抱え、ピッチングができない状態にあることは周知の事実だった。それでもレッドソックス時代に続く手術については、球界から驚きの声が上がった。

「普通なら野球人生をあきらめるところだ。もう一度マウンドへ、との思いが強いのだろう」

   選手経験者しか分からない感情である。

   プロ野球選手の多くは、野球から離れることは人生の終わり、という気持ちを持っている。ましてや松坂は日米のプロ球界で実績を残した男。そのプライドは人一倍強いはずだ。なんのために日本に戻ってきたのか、と自分を責めたことだろう。

   手術の内容は複雑で、聞き慣れないものだった。簡単にいうと、肩の不安定さをカバーしている箇所の手術で、その後は筋肉強化などのリハビリを行う。

   工藤監督によると、松坂は「肩がうまく動かない」と訴えていたそうで、「かなり悩んでいた」という。

「肩は(治るのに)時間がかかる。手術は早く決断したほうが(気持ちが)切り替えられる。来年への不安がなくなるはずだ」

   工藤監督はそう理解を示す。監督自身も巨人時代、左肩を痛め苦労した体験を持つ。投手でなければ、肩の痛み、心の痛みが分からないということなのだろう。

日本の野球ファンのヒーロー

   多くのファンが松坂の日本復帰を歓迎した。

   昨年12月、ソフトバンクと「3年、12億円」(推定)で契約。だれもが背番号18の勇姿を想像した。高額条件から、投げられない状態が続くなど、球団もファンも予測しなかったはずだ。

   ところが、開幕直前にインフルエンザにかかり、4月に右肩痛を再発、5月に二軍戦で投げた後、変調を訴えて治療に。そして今回の手術である。

   大リーグ時代にトミー・ジョン手術(11年6月)を受けた。それで回復したはずだった。しかし、実際は平均球威が145キロ程度に落ちていたという。この球威ではメジャーで生きるには厳しい。

   レッドソックスが14年限りで契約延長をしなかったのは、以前の松坂には戻れない、と判断したからだった。その後、メッツ入りした松坂の投球を見れば、理解できる。

   日本のファンにとって松坂はヒーローである。「松坂世代」という言葉があるように、その時代の象徴的存在だ。

   おりしも松坂が手術を受けた時期は、夏の甲子園大会の終盤。今年は100回大会のイベントもあり、その中で横浜高のエース松坂が春夏連覇した映像や思い出話が何度も取り上げられた。

   「甲子園の申し子」といっていい松坂がその大会の真っ最中に投手生命に関わる手術を受け、現役続行にかけるのだから、なんともいえない気持ちになる人々は多いだろう。

   復帰は来年春になる。そこで復活となるのか。春のセンバツ大会のころに答えがでるだろう。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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