「陸自演習」見学が人気で倍率29倍 映画館でライブビューも

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   陸上自衛隊が毎年一般公開している最大の演習「富士総合火力演習」の閲覧チケットがプレミアム化している。2015年8月23日に行われる今年はチケット申し込みが約15万通あり、倍率が29倍になったことが分かった。

   倍率が急に高騰したのは13年から。これまでは抽選に漏れた人たちは動画配信サイト「USTREAM」で生中継を見るしかなかったが、今年から全国約20の映画館でライブビューも行われる。

  • 総火演人気がうなぎ上り(画像は陸上自衛隊のホームページ)
    総火演人気がうなぎ上り(画像は陸上自衛隊のホームページ)
  • 総火演人気がうなぎ上り(画像は陸上自衛隊のホームページ)

2013年から急増、人気アニメとの関係は?

   「富士総合火力演習」は、静岡県御殿場市にある東富士演習場で行われる陸上自衛隊最大の演習で、1961年から実施され66年から一般公開されている。これには自衛隊員約2300人が参加し、戦車や装甲車、火砲、航空機などを実際の戦闘を想定し稼働させる。「ミリオタ」と呼ばれる軍事マニアにとっては垂涎の的だ。チケットは無料でインターネットや往復はがきを使って応募し抽選でもらえるが、これがプラチナチケットになっているのだ。2013年は20倍、14年は24倍、そして15年の今年は約15万件の応募があり29倍という数字になった。実は、応募件数が急激に増えたのは13年からで、10年、11年、12年は応募数が5万5000件ほどだった。

   なぜこんなに人気になったのか、陸上自衛隊の広報に話を聞くと、

「11年の東日本大震災を境に自衛隊に対する理解と親しみが急速に高まったことが理由ではないでしょうか。また、SNSを使っての情報発信が認知度を高めたと思います」

と説明した。

   この「富士総合火力演習」の人気だが、実はネットで囁かれているのはアニメの影響だ。それは「ガールズ&パンツァー」というアニメで、女子高生が「戦車道」呼ばれる大和撫子の嗜みを極めようと戦車に乗って対戦する内容になっていて、これが記録的なヒットとなった。テレビ放送は12年10月から翌年13年3月までで、ちょうど抽選の倍率が急騰した年に重なっている。

「新宿バルト9」はチケットがソールドアウト

   「ガルパン」の舞台は茨城県東茨城郡大洗町。大洗には「聖地巡礼」をするファンが殺到しただけでなく、茨城空港は自衛隊百里基地との共用空港のため以前からミリオタに人気で相乗効果が生まれた。自衛隊は大洗で行われる「ガルパン」のイベントに協力してきた。また15年7月からは、陸上自衛隊がドラゴンやニンフなどが住んでいる異世界に行き、敵と戦う「GATE」というアニメの放送も始まった。原作者は元自衛官の柳内たくみさんで、このアニメの制作にも自衛隊が協力をしている。こうしたことがファンを確実に増やしているのは間違いなさそうだ。

   そして今回から初めて、「富士総合火力演習」のライブビューが全国の約20の映画館で行われる。企画・上映するのはシネコン運営会社のティ・ジョイ。都内の「新宿バルト9」では既にチケットがソールドアウトしている。

「現場に行けなかった方々のために、場所を提供するというのが私たちの仕事の一つでもあります。ぜひ大スクリーンで体験して頂きたいと思います」

とティ・ジョイの担当者は話している。好評であれば来年以降もライブビューを続けていくという。

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