米国サンフランシスコに初の「抗日記念館」 中国系の実業家が私財投じ、開設

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   「雪解け」とされる日中関係だが、中国側は相変わらず歴史問題をめぐる外交攻勢をかけている。サンフランシスコのチャイナタウンに「抗日記念館」が開設され、国営メディアが英語でオープニングセレモニーの様子を伝えている。抗日記念館が中国の外に設けられるのは初めてだ。

   館長は開館の経緯を「真実の歴史を尊重し、平和を大切にするため」と説明するが、米国社会に中国側の見方を広く伝えるという目的も透けて見える。このままでは、日本が同意できない主張も米国社会に受け入れられてしまう可能性がある。

  • オープニングセレモニーの様子は国営メディアが大々的に伝えた(写真はCCTVから)
    オープニングセレモニーの様子は国営メディアが大々的に伝えた(写真はCCTVから)
  • オープニングセレモニーの様子は国営メディアが大々的に伝えた(写真はCCTVから)

「真珠湾攻撃で命を失った米国人も追悼したい」と米国内で理解求める

   実業家のフローレンス・ファン館長(81)は、オープニングセレモニーの中で、記念館の目的を、

「戦争で何が起こったかを次の世代に知ってもらい、戦争の残酷さを知り、真実の歴史を尊重し、平和を大切にするため」

と説明した。この様子は国営新華社通信が英語でも伝えたほか、中央テレビ(CCTV)も英語で3分以上にわたって特集した。記念館の開設は館長のファン氏が主導している。ファン氏は兄3人が抗日戦争に参加し、帰らぬ人になったと説明している。これをきっかけに戦争の記録や記憶を後生に残そうと考えたという。

   CCTVによると、ファン氏は私財を投じたほか、「真珠湾攻撃で命を失った米国人も追悼したい」として米国内で理解を求めた。一連の経緯を、CCTVでは、

「当初から私有財産の寄付による非政府の事業で、寄付をした人の中には戦争で生き残り、戦争の記憶が風化することを警戒した90代の人もいた」

と報じており、政府が関与していない自主的な取り組みだということを強調している。

   だが、オープニングセレモニーには中国政府の高官も出席しており、「自主的な取り組み」だという印象を実際に与えるのは難しそうだ。

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