「今秋以降、少年サンデー本誌もサンデー超増刊号も大改革が始まります」。週刊少年サンデーの編集長が、最新号の誌面で発表したとされる文面がネットに出回り、反響を広げている。
発行部数が40万部を割り込み、人気が低迷している同誌の読者からは、新人や若手を抜擢するという編集長の「大改革」に期待する声が上がっている。
「新人作家さんの育成を絶対的な使命とします」
2015年8月19日発売の少年サンデー最新号を駅売店やコンビニの前日売りなどで手に入れたと思われる読者が、ネットに誌面らしき写真を投稿。それによると市原武法・新編集長による方針説明が誌面に掲載されたようだ。
「週刊少年サンデーは今後、生え抜きの新人作家さんの育成を絶対的な使命とします」
「多くの連載作品が誌面を去り、代わりに才能溢れる新人・若手作家さんが次々と誌面を賑わすことになります」
と新人、若手の抜擢に力を入れることを明確にしている。どの連載が終わり、誰の新作が始まるか、などは明らかにされていないが、この方針に反する編集部員には「容赦なく少年サンデー編集部を去ってもらいます」とまで書いた。
今後、同誌の漫画について「意思決定は編集長である僕がただ一人で行います。僕の独断と偏見と美意識がすべてです」とし、責任も1人で背負うと覚悟を示した。
誌面の1ページを割いてまで新編集長の「所信表明」と言える文章を掲載したのは、部数の大きな落ち込みが背景にありそうだ。日本雑誌協会が公表する「印刷部数」によると15年1~3月期には初めて40万部を割り込み、最新の同年4~6月期の部数は38万8417部だった。1980年代、高橋留美子さんの「うる星やつら」、あだち充さんの「タッチ」を擁し、228万部だった最盛期からみると大きく落ち込んでいる。
同誌に限らずコミック誌の部数は減少している。とはいえ、かつて「3大誌」と並び称された週刊少年コミック誌のジャンプ(239万5000部)やマガジン(112万7042部)にも大きく水をあけられている。
長期連載の打ち切りを心配する声も
今回の表明を受け、ツイッターや2ちゃんねるなどネットでは、
「市原編集長のやる気と心意気いいな」
「とりあえず編集長からサンデーをなんとかしたいという熱意は伝わってきた」
「編集長の覚悟は受け取った」
と読者の期待感が高まっている。
一方で新人や若手の発掘をアピールしていることから「名探偵コナン」など長期連載する人気作が打ち切られるのではないか、と心配する声がないわけではない。ただ市原編集長は「少年サンデーの歴史を力強く支えてきてくださった中堅・ベテラン作家さんの力もまた絶対に必要です」とも書いていて、「しばらくは様子見」という読者もいるようだ。