「そのような件は、お答えしていません」
トートバッグの「No.3」は、グラフィックデザイナーの仲條正義氏が12年7月に展示会に出した作品に絵柄がそっくりだとされた。それはチョウのデザイン部分で、色以外は同じだった。
仲條デザイン事務所に取材したが、担当者が外出していて、すぐには話ができないとのことだった。
さらに、「No.17」についても、「BBQ BARBEQUE FOREVER」のロゴが米国製のTシャツに似ていると指摘されている。
サントリーの広報部では、取材に対し、取り下げた8点以外は、問題なくキャンペーンに使えると判断しており、取り下げることは検討していないと言っている。
トートバッグ以外でも、「盗用」が疑われている佐野研二郎氏の作品が、次々に見つかっている。
そのうちの1つが、イギリスの人気ロックバンド「ローリング・ストーンズ」の公式Tシャツだ。襟首の裏側にあるデザインが、フランスのギタリスト、ビレリ・ラグレーンさんが1981年に発売したアルバム「Bireli Swing'81」のジャケット裏の写真を反転したものに見えるというのだ。写真は、ラグレーンさんがギターを抱えて歩く様子を写していた。
Tシャツを販売した衣料品メーカーのバディーズでは、09年と企画が古いため調査していると取材に答えた。
佐野氏を巡っては、五輪エンブレムについてベルギーのデザイナーが提訴したほか、アメリカのデザイナーもトートバッグに対する提訴も検討していると報じられている。これだけ騒ぎが広がっているため、ネット上では、エンブレムのデザインも近いうちに取り下げられるのではないかとの見方も出てきている。
佐野氏が代表をしている「MR_DESIGN」に相次ぐ疑惑について取材すると、スタッフの1人が「そのような件については、お答えしていません」とだけ話した。