佐野研二郎氏(43)をめぐる模倣騒動は、ついに訴訟まで発展した。以前から疑惑が出ていた東京五輪エンブレムに続き、サントリーのトートバッグデザインも「元ネタ」とされるデザイナーが法的手段に言及したと報じられたのだ。
トートバッグについては、佐野氏の事務所が「(スタッフが)第三者のデザインをトレースしていた」と発表。一連の騒動を謝罪したが、幕引きまではほど遠いようだ。
ベルギーのリエージュ劇場などが提訴
五輪エンブレムについては2015年8月14日、デザインの盗用を主張するベルギーのリエージュ劇場と、デザイナーのオリビエ・ドビ氏が、国際オリンピック委員会(IOC)へ使用差し止めを求めて地元裁判所に提訴した。IOCや佐野氏はエンブレムのオリジナル性を主張していて、ドビ氏や劇場と真っ向から対決する格好だ。
トートバッグ問題も尾を引いている。サントリーは13日、佐野氏の申し出により8つのデザインを取り下げると発表。続く14日深夜には、佐野氏の事務所が発注先デザイナーによる盗用を認める一方、あくまで「アートディレクターとしての管理不行き届き」として、個人応募の五輪エンブレムとは「制作過程を含めて全く異なる」と発表した。
盗用されたデザイナーは、どう反応しているのか。民放テレビ各局は14日までに、米カリフォルニア州のジェフ・マクフェトリッジ氏を取材。特徴的な「泳ぐ女性」のイラストで知られるマクフェトリッジ氏は、トートバッグのデザインを見て「トレースされたように見えるね」(フジテレビ)、「責任は従業員でなく、すべて彼にある」(テレビ朝日)などとしたが、「デザイン業界では、他人の影響を受けながら作品を作っている」(日本テレビ)こともあり、法的手段には出ないと語った。