70回目の終戦の日にあたる2015年8月15日に政府が東京・北の丸公園の日本武道館で開いた全国戦没者追悼式で、天皇陛下が「先の大戦に対する深い反省」を表明した。
安倍晋三首相が70年談話で「反省」に間接的にしか言及しなかったのに対して、より踏み込んだ内容だ。
「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」も加わる
正午の黙とう直後に天皇陛下が読み上げる「お言葉」の文言は毎年ほとんど同じ内容だ。例えば戦後50年(1995年)と戦後60年(2005年)の文言を比べた場合、その違いは「尊い命」「苦難に満ちた往時を思い、感慨は誠に尽きるところを知りません」(1995年)と「かけがえのない命」「苦難に満ちた往時をしのぶとき、感慨は今なお尽きることがありません」(2005年)といったきわめて小さいものだ。05年と14年との比較にいたっては、「終戦以来すでに●●年」という部分しか違いがない。
ところが15年の文言ではそれが一転。例年の文言では「国民のたゆみない努力」が「今日の我が国の平和と繁栄」をもたらしたとされていたが、今回は「戦争による荒廃からの復興、発展に向け払われた国民のたゆみない努力と、平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」に変化。「国民」と「平和」を強調する内容だ。
例年の「ここに歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い」という表現では、「顧み」の後に「先の大戦に対する深い反省とともに」という表現が挿入された。
70年談話では、過去の談話の反省が「揺るぎない」と説明
15年8月14日に政府が閣議決定した「70年談話」では、「反省」「お詫び」といったキーワードについて、
「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」
という過去の談話の立場を
「今後も、揺るぎないものであります」
と間接的に言及するにとどめていた。
式典には天皇皇后両陛下、安倍晋三首相、100歳から3歳までの遺族ら6820人が参列し、日中戦争と第二次世界大戦で犠牲になった約310万人を追悼した。