佐野研二郎氏(43)が、デザインしたトートバックの一部について配布を取り下げた問題で、佐野氏は2015年8月14日深夜、発注先のデザイナーによる盗用を認めた。事務所のウェブサイトで発表し、自らの管理責任について陳謝した。過去の他の作品や東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムについては、引き続き盗用を否定している。
連絡体制機能せず、プロとしての甘さ、不十分なスタッフ教育が原因?
声明によると、トートバッグの企画では、佐野氏が夏を連想させるコンセプトを打ち出した上で、デザイナーにデザインや素材を発注。ラフデザインを含めて約60のデザインをレイアウトする作業が行われた。佐野氏は、その過程で、
「スタッフの者から特に報告がなかったこともあり、私としては渡されたデザインが第三者のデザインをトレースしていたものとは想像すらしていませんでした」
と説明。外部からの指摘を受けて検証したところ、一部でトレース(複写行為)が明らかになったという。
佐野氏は、
「今回の事態は、社内での連絡体制が上手く機能しておらず、私自身のプロとしての甘さ、そしてスタッフ教育が不十分だったことに起因するものと認識しております」
として自らの管理責任に言及する一方で、過去の自らの作品については、
「その制作過程において、法的・道徳的に何ら問題となる点は確認されておらず、また権利を主張される方から問い合わせを受けたという事実もございません」
東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムについては
「模倣は一切ないと断言していたことに関しましては、先日の会見のとおり何も変わりはございません」
と、それぞれ盗用を否定。特にエンブレムについては、事務所ではなく「私が個人で応募したもの」で、「今回の(編注:盗用を認めた)案件とは制作過程を含めて全く異なるものであり、デザインを共同で制作してくれたスタッフもおりません」と主張した。