男性弁護士(42)の性器を切断したとして、慶応大学院生(24)が傷害で逮捕された事件をめぐり、マスコミ大手が思わぬところで話題になっている。
それは切断されたからだの部位をめぐる表現だ。「下腹部って、どのあたりなの?」という疑問を持っている人は多いようで、「からだの一部」ではもっと分かりにくい。
テレビやスポーツ紙は「局部」と表現
慶応大法科大学院生でボクサーの男性(24)が、妻の勤務先である法律事務所で弁護士(42)の男性器を切断するなどした傷害事件が起こったのは2015年8月13日朝のこと。報道などによると、男性は弁護士の顔を数回にわたり殴り、倒れて意識がもうろうとなったところで男性器を、持参した刃渡り6センチの枝切ばさみで切断した。男性は傷害の疑いで現行犯逮捕された。
警視庁赤坂署によると、男性は「間違いはない」と容疑を認めており、また「性器はビル内のトイレに流した」と供述しているという。弁護士は病院に搬送されたが、命に別条はないという。
容疑者の男性は妻とともに法律事務所を訪れ、弁護士を交えた3人で話し合いをしていた。赤坂署は交際関係をめぐる何らかのトラブルがあったとみて、動機などを調べているという。
男性器が切断された事件というと、もうずいぶんと古いが1936年5月の、仲居の女性が性交中に愛人の男性をやく殺して局部を切り取った「阿部定事件」が有名だ。しかし、男性が男性の性器を切断するという事件は珍しい。インターネットでは、
「阿部定が切ったのは男が死んだ後だから。この場合、もうろうとしてても意識がある中で切られたんだぜ? 想像するだけで足が震える」
「男が男のものって・・・超こえ~。想像したくない」
といった、男性からのコメントが多く寄せられている。
そうした中で、この男性器をめぐる表現が各メディアでまちまちで、「はっきりしない」「よく分からない」と話題になっている。
たとえば朝日新聞は、
「倒れて意識がもうろうとなった男性の性器を枝切りばさみ(刃渡り6センチ)で切断した」
「容疑者は『性器はビル内のトイレに流した』と供述しているという」
と、「性器」と表現した。
また、スポーツニッポンやスポーツ報知、サンケイスポーツといったスポーツ紙は「局部切断」と書き表しており、日本テレビやTBS、フジテレビも「局部」と表現していた。
夕刊紙(8月14日発売)は、夕刊フジが「局部」と表記。日刊ゲンダイは1面に「チン切り真相」の見出し。本文では「性器」と表現していた。東京スポーツは1面の見出しで「局部」、2面では「性器」と使い分けていた。
「NHK『からだの一部』って。何この無能。論外だ」
そうした一方で、産経新聞(2015年8月13日13時25分配信)は見出しで「男性弁護士の下腹部を切断 容疑の男逮捕」としたうえで、本文でも、
「顔を数回殴り、ズボンを脱がして、持参した枝切りバサミで下腹部を切断した」
と、「下腹部」と記した。
「下腹部」の表現は、毎日新聞や時事通信、テレビ朝日も用いている。
「下腹部」というと「おなかの下あたり」という印象をもつ人も少なくなく、「下腹部を切断ってどういうこと?」「下腹部のどのあたりなの?」となった人も多かったようだ。
さらに、NHKでは「からだの一部を傷つけ」と表現。身体のどの部位が傷ついたのかもわからなくなってしまった。
インターネットなどでは、
「これは朝日が正解。 やっと心を入れ替えたな」
「朝日、やればできるじゃんwww 他の新聞は反省しろ」
と、朝日新聞を高く評価する声が少なくない。
その半面、
「下腹部ねぇ・・・たしかに報道としてはいかがなものかなぁ」
「NHK『からだの一部』って。何この無能。論外だ」
「俺は局部派だな」
「枝切りばさみなんだから、陰茎がふさわしい」
「弁護士の『下腹部を切断』って、それって、ペ○ス、チ○チンのことでしょう」
などと、はっきりしない表現にモヤモヤする気持ちをぶつけるかのような声も多かった。
ちなみに、「局部」や「下腹部」の表現は阿部定事件の報道以降に、性器を示す表現として、一般的に用いられるようになったともいわれるが、ある新聞関係者は「こう表現しなければいけないという、きまりはないと思います」と話している。
なお、J‐CASTニュース・テレビウオッチでは「ペニス」と表現した。