エアコン、サングラス、日傘、清涼飲料・・・ 猛暑が国内景気を押し上げている

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   全国的な猛暑が夏の商戦の追い風になっている。エアコンや冷たい飲み物、涼感グッズに加え、熱中症や紫外線の対策商品も売れ行きが好調という。

   中国の景気減速など世界的には不安要素も広がるなか、国内に限れば消費支出拡大による景気押し上げへの期待が高まる。

   猛暑と言えば、まずエアコン。東京・秋葉原の家電量販の各店では、エアコンの売り上げが前年同時期と比べて2~3割増。とくに、省エネタイプなど10万円以上の高価格品の売れ行きがいいという。

   百貨店ではサングラスや日傘、帽子などの売り上げが好調という声が溢れるほか、三越銀座店(東京・中央)など夏物衣料も、バーゲン前の定価販売品が前年を上回る売れ行きという。玉川タカシマヤなど地下の生ジュースやジェラートのスタンドなどにも休日ともなると長い行列ができる。西武池袋本店の屋上ビアガーデン「天空のビアテラス」も連日満席の盛況だ。百貨店大手5社が8月3日まとめた7月の売上高は4~7%の増収と快調だった。

   飲料やビールも伸びている。サントリー食品インターナショナルの7月の炭酸飲料など国内飲料販売は1割増。キリンビールも7月下旬?8月第1週の缶ビール「一番搾り」の販売数量は前年同期に比べ約17%伸びている。

   コンビニでは、アイスクリームや氷を使ったデザート、冷たい飲料がどこも前年より大きく伸び、ファミリーマートは「抹茶フラッペ」などを緊急増産。セブン-イレブンはスポーツドリンクなどが3割増の勢いとか。

   涼しさを演出するグッズも、水にぬらして使うクールタオル、首から下げる小型送風機、吸水速乾性に優れた機能性肌着など、熱中症対策では保冷剤を入れられるベビーカーの背もたれマット、汗をふきシートなどの販売額が跳ね上がっている。珍しいところでは、紫外線で傷んだ肌や髪をケアするための美顔器やドライヤー(高級機種)が売れているという。

  •  真夏の猛暑は国民の消費に大きな影響
    真夏の猛暑は国民の消費に大きな影響
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TDLはマイナスに

   三菱UFJモルガン・スタンレー証券の景気循環研究所は、「東京、大阪など6都市の平均気温が1°C上昇した場合、夏物消費は1300億円弱増加し、7~9月期の個人消費を0.1%強、実質GDPを0.2%弱押し上げる効果がある」と試算。第一生命経済研究所は7~9月期の日照時間が平年比29%多かった1994年と同21%多かった2010年並みと仮定すると、今年7~9月期の実質家計消費はそれぞれ0.6兆円(0.9%)増、0.4兆円(0.6%)増となり、実質GDPは、消費増による輸入増のマイナス効果を考慮して、それぞれ0.4兆円(0.3%)、0.3兆円(0.2%)押し上げると弾いている(8月3日のレポート)。

   こうした状況を反映して、商店主やタクシー運転手らに景気の実感を尋ねた「7月の景気ウォッチャー調査」(8月10日内閣府発表)は、景気の現状を示す指数が前月より0.6ポイント上がって51.6と、3か月ぶりに改善した。

   もちろん、猛暑だけでなく外国からの観光客の増加による爆買いなども理由だが、生の声を拾うと「夏のボーナス後に猛暑日が増えたことで冷房関連が牽引し、販売量が回復している」(四国の家電量販店)、「夏型商材の売り上げが好調」(東北のスーパー)などが目立った。ただ、6月の家計の消費支出(7月31日総務省発表)が前年同月比2.0%減少するなど「消費の基調は強くない」(内閣府筋)だけに、不安をぬぐえないところ。

   実際、暑さはマイナス面もあり、例えば東京ディズニーリゾート(ランドとシー)の7月の入園者数は前年同月比、当初計画比のいずれもマイナス。「浅草花やしき」は7月の入場者数が3.2万人と、前年より約1万人減った。「高齢者が外出を控えれば旅行などサービス消費にもマイナスの影響が出るかもしれない」(エコノミスト)との指摘もある。

   さらに、夏の「猛暑特需」が大きいほど、その反動で10~12月の消費が下押しされる懸念もある。過去の猛暑では、2013年は7~9月期2.2%、10~12月期も2.3%とプラス成長が続いたが、1994年と2010年をみると、真夏に予定外の出費を強いられた影響で、秋以降は節約指向で消費の反動減が出て10~12月期はマイナス成長になっている。真夏の猛暑を手放しで歓迎できる状況にはなさそうだ。

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