甲子園球児の「あこがれ」
田中のスライダーというと、甲子園でのピッチングを思い出す。駒大苫小牧高のエースとして快投を見せた。勝ち上がった決め球がスライダーだった。
その夏の高校野球は今年が100年記念大会。事前からさまざまな企画が行われた。田中が8勝目を挙げた直後の6日に開幕し、早実のOBである王貞治が始球式を行い、大変な盛り上がりを見せた。
甲子園球児にとって田中は「あこがれの存在」だ。いまの高校生は最大目標を「大リーグでプレーすること」としている。話題の早実・清宮幸太郎もその一人である。
田中のピッチングは高校の投手にとって理想となっている。無理のないフォーム、コントロールの良さ、150キロの速球、多彩な変化球・・・。ピンチで併殺に切り抜けるテクニックは神業と思われている。
ヤンキースタジアムで田中を激励した松井も甲子園のヒーロー。5打席5敬遠はもはや伝説であり、巨人-ヤンキースで4番を打ったスラッガー。打者としてはまさに「あこがれの先輩」である。
田中と松井が並んだ一枚の写真の持つ意味とインパクトは、高校球児にとって限りなく大きい。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)