円安や株高を背景に資産運用が好調
今年の生損保の海外案件としては、3月に損保ジャパン日本興亜ホールディングスが仏スコールに15%(約1100億円)出資すると発表した。2013年12月にも英キャノピアスを992億円で買収している。MS&ADグループは、傘下のあいおいニッセイ同和損害保険が2015年3月末に英自動車保険ボックス・イノベーション・グループを約200億円で買収した。さらに、住友生命も米中堅生保のシメトラ・ファイナンシャルを4000億~5000億円で買収することも明らかになった。
国内の生保市場は、少子高齢化による人口減少や若者の保険離れの深刻化で、主力商品の死亡保障が各社とも伸び悩んでいる。損保市場も正味収入保険料(一般企業の売上高に相当)の約半分をしめる自動車保険が、新車市場の縮小、契約者の高齢化による交通事故のリスクの高まりで頭打ちにあり、また地震など自然災害の多発で地震保険などの採算も悪化するなど、難題を抱えている。
もっとも、足元の業績は良い。生保が円安や株高を背景に資産運用の好調に支えられ、2015年3月期決算では相次ぎ最高益を更新した。損保も大手3グループがそろって純利益で過去最高を更新したが、損保の場合は、生保に先駆けて力を入れてきた海外事業が収益を押し上げているのが特徴。
こうした状況から、財務体力に余裕がある今のうちに大胆な投資を進め、将来の収益源を確保しておこうという思いは各社に共通する。特に長い目でみると国内の人口減少や低金利は経営に重荷となるだけに、海外事業拡大を一段と加速させるのは間違いない。