マウスで生命科学研究
油井飛行士はHTVが運んだ実験用物資を用い、宇宙の謎の一つ「暗黒物質」や宇宙線の起源を探る天体観測のほか、小動物飼育装置を使った「健康長寿・加齢疾患研究」や創薬研究につながる高品質なタンパク質の結晶生成などにも取り組む。
これまでの宇宙実験はメダカなどを用いて行ってきたが、今回の小動物飼育装置は「より人間に近いマウスを用い、生命科学研究を行う日本初の宇宙用マウス実験装置」(文部科学省研究開発局)なのだという。ISSは微小重力環境で「骨が地上の10倍の速さで減る」など、宇宙ならではの実験・研究ができるという。
いずれにせよ、ISSは「民生分野における日米宇宙協力史上、最大規模のプログラム。日本はISSへの参加を通して様々な技術・運用ノウハウを蓄積し、欧米へのキャッチアップを果たすとともに、宇宙開発利用で世界有数の実力をもつようになった」(自民党政調関係者)という。
油井飛行士は航空自衛隊のテストパイロット出身で、2009年に歴代最年長となる39歳でJAXAの飛行士候補に選抜されたことで話題となった。油井飛行士がISSに滞在する5か月間、「きぼう」で行う宇宙観測や科学実験の成果に期待が高まる。