猛暑でタクシーが止まらない? 「化粧くずれイヤ」「歩きたくない」「涼みたい」・・・

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   うだるような暑さが続いている東京都内で、タクシーが思わぬ「特需」でホクホク顔らしい。

   猛暑や突然の雷雨で、「どうしても歩きたくない」というビジネスパーソンらは少なくないようで、ターミナル駅ではタクシー待ちの行列ができ、また流しのタクシーをつかまえるのもむずかしくなっているようだ。

  • 猛暑でタクシーの客足がいいようだ・・・(写真はイメージ)
    猛暑でタクシーの客足がいいようだ・・・(写真はイメージ)
  • 猛暑でタクシーの客足がいいようだ・・・(写真はイメージ)

暑さ、7日には東京都心で最高の37.7度を記録

   高気圧に覆われている日本列島は、2015年8月8日も全国的に気温が上昇したが、東京都心では9日ぶりに気温35度以上の猛暑日を免れたようだ。気象庁によると、前日には全国928の観測地点のうち、猛暑日が199地点、30度以上の真夏日は690地点にのぼった。東京都心も今年最高の37.7度を観測していた。

   そんなジリジリするような連日の炎天下が、タクシーの客足にはプラスに働いた。「暑くて歩きたくない」「ちょっとでも涼みたい」と、タクシーを利用する人が増えたからだ。また、女性客の中には化粧くずれを気にしてタクシーに乗る人もいるという。

   東京都心では、タクシーの空車を見つけるのに手間どることが増えている。

   あるタクシー運転手によると、「都心を流していて1分間、空車になることがない。お客を降ろしたらすぐ次のお客が入る」と、忙しそう。

   オフィス街では、暑すぎて短距離でもタクシーに乗りたいという人が少なくない。商談先の移動のために利用するようで、「先方に着いたときに、できるだけ汗でシャツが濡れていないようにしたい」という気遣いから利用している。最近はクールビズが浸透して、スーツの上着やジャケットを着ているサラリーマンは少ないが、それでも「暑い」というわけだ。

   前出のタクシー運転手は、「毎日の売り上げが通常より5000円か1万円は多いですね」と話す。東京都内ではタクシーの規制緩和で「減車」されており、「(実車が増えている背景には)それも影響しているのでは」とみている。

   一般に猛暑で「伸びる」、「儲かる」商売いうと、エアコンや扇風機が売れまくる家電量販店や、清涼飲料やビールなどの飲料メーカーにコンビニエンスストアやスーパー、アイスクリームやかき氷などを置く喫茶店、ビアガーデン、さらにはプールなどのレジャー産業などが思い起こされる。

   オフィス街では、ドトールコーヒーやスターバックスといったカフェチェーンにも、サラリーマンの姿が多い。猛暑のあまり、涼しさと水分を求め、避難してきているようだ。

   第一生命経済研究所経済調査部の主席エコノミスト、永濱利廣氏は8月3日付のマクロ経済分析レポート「Economic Trends」で、仮に東京・大阪平均の2015年7~9月期の日照時間が平年に比べて29%増となった1994年、同21%増となった2010年並みになると仮定すれば、「15年7~9月期の実質家計消費のそれぞれ0.6兆円増(0.9%増)、0.4兆円増(0.6%増)の拡大を通じて、実質GDPをそれぞれ0.4兆円(0.3%)、0.3兆円(0.2%)押し上げる」と指摘する。猛暑はまさに個人消費を刺激し、景気を底上げしているようだ。

猛暑で太陽光発電もフル稼働

   一方、猛暑で太陽光発電も「フル稼働」している。朝日新聞(2015年8月8日付)は「太陽光発電の普及・節電定着... 猛暑でも電力にゆとり」の見出しで、電力大手が猛暑の中でも、比較的余裕のある電力供給を続けていると報じた。「すべての原発は止まったままだが、太陽光発電の普及や節電の定着で、真夏の電力不足の心配は遠のいている」という。

   太陽光発電協会によると、国内の太陽光発電の導入量は、東日本大震災前の2010年3月末に約280万ワットだったが、15年3月末には2700万ワットと9.5倍に伸びた。朝日新聞によると、出力が低下することを見込んでも「増加分だけで原発10基分」にあたるとしている。

 

   また、前出の第一生命経済研究所の永濱利廣氏は、「飲料や家電向けを中心としたダンボールの販売量も増加が予想される」という。また、ドリンク剤やスキンケアの売り上げが好調な、化粧品や製薬関連でも猛暑は追い風。最近は30代~40代のサラリーマンが汗の臭いを気にする傾向があり、男性用の制汗剤市場が拡大している。

   暑くて、そもそも外出しないという人も少なくない。その恩恵を受けているのが、宅配ピザ。また、DVDなどのレンタル店や日用品などを取り扱うネットスーパー、通販サイトなどのネット宅配サービスも暑くなるほど伸びる。

   とはいえ、永濱氏は「記録的な猛暑となった1994年、2010年とも7~9月期は大幅なプラス成長を記録した後の10~12月期に、個人消費主導で大幅なマイナス成長に転じているので注意する必要がある」と指摘。たとえば、「今夏の日照時間が増加して来春の花粉飛散量が増えれば、花粉症患者を中心に外出がしにくくなるので、来春の個人消費を押し下げる可能性もある」という。

   猛暑はいいことばかりではないようだ。

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