「090」「080」「070」と広がってきた携帯電話の番号に「060」が追加されそうだ。
携帯電話の普及に加えて、最近利用が急拡大している電子機器同士(Machine to Machine、M2M)の通信にも携帯電話の番号が使われており、早ければ3年後の2018年にも番号が枯渇する可能性が出てきたからだ。
携帯電話やPHSの契約数は年800万件ペースで増加
携帯電話など情報通信を管理する総務省が2015年6月18日に、有識者で組織された情報通信審議会に携帯電話の番号の枯渇対策を諮問したことで、「060」の追加が検討されている。
「0×0」の電話番号は010から090まであり、010は国際電話、020がポケベル、050はIP電話、070、080、090が携帯電話とPHSというように用途が決まっている。現時点で030、040、060が利用されていない。
携帯電話の番号をめぐっては、利用者増を見込んで1999年に携帯電話を090、PHSを070に振り分け、ケタ数も10ケタから11ケタに増やした。その後の携帯電話の利用者増に伴い、2002年には080を追加し、2013年には利用が伸び悩んでいたPHSの070を「携帯電話にも開放するなど携帯番号の需要増に対応」(総務省)してきた。
一方、2015年3月末時点で携帯電話やPHSの契約数は1億5000万件を超え、年800万件のペースで増加が続いている。契約数はすでに日本の人口約1億2700万人より多いが、スマートフォンとタブレット、フィーチャーフォンを同時に使ったり、私用と業務用など複数を保有したりする人がいるからだ。
M2M通信に「020」を新専用番号として割り振りか
また、最近は通信機能付きの電力計「スマートメー ター」や、GPS機能を使った子どもやお年寄りの見守りサービスなどの利用も急増。こうしたM2M通信にも携帯電話やPHSと同じ070が割り振られている。
090、080、070で約2億7000万回線ある計算だが、090と080はすべて使われ、070も2015年3月末時点で残りは4420万件。M2M通信は次世代自動車への搭載などにも活用されるとの指摘もあり、今後も拡大するのは確実で「2018年ごろには070が枯渇する可能性がある」(総務省)とみている。
そこで今は使われていない「060」を携帯電話の番号に加える、枯渇対策の検討を開始したわけだ。実現すれば、9000万回線分の余裕が見込めるという。さらに、通話回線分を携帯電話やPHSと切り離すため、M2M通信にはポケベルで使われてきた「020」を新たに専用番号として割り振ることも検討している。
2015年7月28日までに3回の会合が開かれたが、総務省は「需要見込みもあるが、番号を増やさない方法としてケタ数を現在の11ケタから12ケタに増やして対応することも考えている」とも話す。
情報通信審議会は15年内をめどに対策案をまとめ、総務省が2016年度にも省令を改正する考えだ。