「日韓基本条約を平然と覆そうと試みるのを見て、また法の支配に対する考えの違いに愕然」
報告書では、韓国の「理性」と「心情」「感情」といった言葉がたびたび繰り返され、韓国に対する厳しい評価も多い。総論では、韓国の置かれた立場を、
「同じ朝鮮半島でも、東側陣営に入った北朝鮮が、日本は拒絶する相手だと割り切ることができたのに対し、韓国にとり日本は理性的には国際政治において協力しなければいけない国である一方、心情的には否定、克服すべき相手であるという点でジレンマが生じることとなった。戦後70年間の韓国の対日政策は、この理性と心情の間で揺れ動いてきたものであると言える」
と分析。日韓両国の国民感情のすれ違いについては「当初の期待が裏切られたと感じ、憤りを覚えるようになった」と説明しながら、日本国民が抱いた感情を、
「日本国民も同様に、当初同じ考えを持っていると期待した韓国人が、日韓基本条約を平然と覆そうと試みるのを見て、また法の支配に対する考えの違いに愕然とし、韓国人への不満を募らせていった」
と表現した。歴代大統領に対する評価も辛らつだ。李明博大統領は、「就任当初は理性に基づき日本との関係を管理するかに思われた」が、11年に韓国の憲法裁判所が慰安婦問題について韓国政府が日本と交渉を行わないことを違憲だとする判決を出すと「国民感情を前面に押し出して日本に接するようになる」。これに加えて、12年8月の竹島上陸強行が日韓関係をさらにこじらせたと非難した。
「竹島については、自ら問題を大きくする意図は有していなかった日本であるが、李明博大統領による一方的な行動により、その態度は硬化することとなった」