「歴史問題で『ゴールポスト』動かす」「心情に基づいた対日外交」 有識者懇報告書、朴大統領と韓国外交を強く批判

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   安倍晋三首相が出す「戦後70年談話」のベースになる有識者会議「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」(21世紀構想懇談会)の報告書が完成し、2015年8月6日に安倍首相に手渡された。戦後50年(1995年)の村山談話に盛り込まれていた「お詫び」には言及していないものの、第2次世界大戦での日本による侵略や植民地支配を認め、当時の指導者についても「責任は誠に重い」と非難する内容だ。

   それでも韓国政府は、報告書の内容が「両国国民の和解に全く役に立たない」と非難している。韓国側のコメントではどの部分を問題視しているかは明示されていないが、報告書では朴槿恵(パク・クネ)大統領が「心情に基づいた対日外交」を行っており、韓国政府が歴史問題で「『ゴールポスト』を動かしてきた」といった厳しい表現もが目立つ。こういった率直な指摘が反発を招いている可能性もある。

  • 有識者懇の報告書は韓国の対日姿勢に厳しい評価を下している(写真は首相官邸ウェブサイトから)
    有識者懇の報告書は韓国の対日姿勢に厳しい評価を下している(写真は首相官邸ウェブサイトから)
  • 有識者懇の報告書は韓国の対日姿勢に厳しい評価を下している(写真は首相官邸ウェブサイトから)

「政府、軍の指導者の責任は誠に重いと言わざるを得ない」

   報告書では、「侵略」と「植民地支配」の事実を認めている。侵略については、

「満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、第一次大戦後の民族自決、戦争違法化、民主化、経済的発展主義という流れから逸脱して、世界の大勢を見失い、無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」

という形で記述された。ただ、このくだりには、

「複数の委員より、『侵略』と言う言葉を使用することに異議がある旨表明があった」

という脚注がついている。

   植民地支配については、

「民族自決の大勢に逆行し、特に1930年代後半から、植民地支配が過酷化した」

と指摘。当時の指導者についても、

「1930年代以後の日本の政府、軍の指導者の責任は誠に重いと言わざるを得ない」

などと断罪した。

   だが、韓国は報告書に否定的だ。韓国外務省が発表した声明では、

「民間レベルで作成された報告書とはいえ、歴代内閣の認識を継承するという日本政府の公言と相反するもの」
「両国関係の好循環的発展を目指す我が国政府の意志と努力に逆行する」

などと非難。戦後の日韓関係については一方的で強引なこじつけがあるとして

「両国国民の和解に全く役に立たない」

とまでした。

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