ロシア有力議員「原爆投下は人道に対する罪」 主張の狙いは日米間に「くさび」?

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   原爆投下から70年になる「原爆の日」を迎え、ロシアの国営通信社が原爆関連の報道を強化している。原爆の非人道性を強調する内容が多く、「原爆投下を『人道に対する罪』に宣言すべき」といった対米非難の色を帯びた主張も目立つ。

   ただ、こういった「力への依存」を非難する主張の中には、どういう訳か「ウクライナ」という単語も登場する。ロシアによるクリミア半島の一方的な併合をめぐって経済制裁で共同歩調を取る日米間に「くさび」を打ち込む狙いも透けて見える。

  • ロシアで原爆の非人道性を強調する報道が相次いでいる
    ロシアで原爆の非人道性を強調する報道が相次いでいる
  • ロシアで原爆の非人道性を強調する報道が相次いでいる

米国は原爆投下をソ連威嚇のために利用?

   ここ数日で、ロシアの国会議員が原爆投下について言及する機会が増えている。ロシア国営のタス通信も、発言を積極的に伝えている。

   例えば2015年8月4日には、政権与党「統一ロシア」のフランツ・クリンツェヴィチ第1副代表が、原爆投下について

「70年が経った今でも、こういった行動を人道に対する罪だと公式に宣言しても遅くはない」

と述べたと報じている。発言では、原爆投下は「背景に軍事的理由はない」として

「米国は原爆投下を威嚇のために利用した。日本に向けてではなく、ソ連に向けたものだった」
「こういった野蛮行為は本質的に正気の沙汰ではなく、人類に対する真の犯罪だと信じている。国連を含めた全ての国際機関が関係する方法で、そのように宣言すべきだ」

などと米国を非難している。

   セルゲイ・ナルイシキン下院議長は、8月5日にモスクワ国際関係大学で開かれた円卓会議で

「原爆投下の記憶はナチスと日本軍による残虐行為の記憶と同様に重要」

だと指摘。原爆の悲惨さを伝えるために、在京ソ連大使館が原爆投下直後に本国に送った公電をウェブサイトで公開するように指示したという。

姉妹サイト