年間1兆5000億円の経済損失
日本でも、九州大など4大学が2015年度から、世界で初めて南極海での実態調査を計画する。これまで各国の調査は沿岸部中心だったが、生活圏から離れた場所を調べれば世界的な分布の把握が期待できるという。環境省の環境研究総合推進費を受け、3年間に2回、蛇行しながら南極海を往復し、プラスチックごみの分布のほか、発生源や付着する汚染物質を調べる予定だ。
このほか、オランダのNPOが開発したごみ除去設備(全長2キロの巨大な「浮き」を海面にV字形に浮かべて海流や風で自然に集める)の実験が、世界で初めて、2016年にも長崎県・対馬沖で始まると報じられている。
国連環境計画(UNEP)の今年の報告書は、微小プラスチックを含むプラスチックごみが海洋に与える経済損失(生態系や漁業、観光への影響、清掃費など)は少なくとも年130億ドル(約1兆5000億円)と試算。プラスチックごみ問題はもはや見過ごすことはできないレベルにきている。温室効果ガスの排出削減などと並び、プラスチックごみ対策も人類が早急に取り組まなければならないテーマだ。