福岡市「圧力がかかったことはありません」
ただ、この2点については、今回の戦争展でも、安倍首相批判や脱原発主張をするかは、事前にはっきりと確認できなかった。しかし、福岡市の総務課では、調べた結果から、特定の政治的立場に立って主義主張をされるのではないかと判断したと取材に説明した。
主催者の「『平和のための戦争展ふくおか』を成功させる会」では、取材に対し、事務局長が次のように反論した。
「私どもは、戦争の悲惨さや平和の尊さを考えてもらうため、20年にもわたって資料を展示してきています。決して政治団体の下請けなどではなく、安倍政権の転覆を目指す団体でもありません。それが漫画家や教授の思想などだけでスポイルされるとすれば、甚だ迷惑な話です。取り消しは私どもへの妨害であり、後援するのが筋だと思っています」
市がなぜ急に変わったのか疑問だとして、どのような理由で後援を取り消したのか、文書で出すよう求めたことを明らかにした。
これに対し、市の総務課では、市民団体が後援拒否は受け入れられないとして7月30日に文書で説明するよう要請があったことを認め、8月4、5日の一両日中に回答を出すと取材に答えた。後援の基準は変わったわけではなく、4年前もこの市民団体の後援申請を不承諾としたという。16年については、その内容でまた判断するとしている。
自民党などから何かを言ってきたことはないとし、「あくまでもその都度の内容で判断していることで、圧力がかかったということはありません」と言っている。
市の後援拒否が新聞報道されると、ネット上では、その対応について論議となった。「ここまで現政権に気遣いをするのか?」「反戦平和の動きを封じ込めようとしている!」と市への批判がある一方で、「政治活動と捉える余地は十分にある」「逆の立場の展示が開かれたとしたら、彼ら市民団体は容認するのか?」などと市を擁護する意見も出ている。