サッカー女子W杯で準優勝を果たした、なでしこジャパン。代表メンバーの報酬が活躍に見合っていないのではないか?という議論が再燃している。多くの国民に感動を与えてくれたのだから、収入アップしてしかるべきと単純に思いがちだが、ネットメディアのコメント欄を覗いてみると、一歩踏み込んだ意見が飛び交っていた。
アマチュアスポーツは仕方ない? 待遇アップに賛否両論
なでしこジャパンの報酬が低すぎるという話題は、4年前に優勝したときにも盛り上がったが、その後も目覚ましい改善は実現されなかったようだ。代表で主将を務める宮間あや選手でさえ、年棒1000万円超だと推定されている。高額収入が見込まれるのは、知名度が高く、CM出演やスポンサー契約をしている澤穂希選手や川澄奈穂美選手といった、ひと握りのメンバーだけである。
J-CASTニュースは、「『なでしこ』信じられない待遇 代表入りでも年俸300~400万、アルバイトする選手も」という記事を2015年7月7日に公開した。コメント欄には、公開1週間で32件のコメントが集まった。
アスリートへの冷遇は日本は世界で後進国より悪い!
考えてみれば「女子サッカー選手の待遇悪いからなんとかしろ」と周りが言っても、普段のなでしこリーグとか見に行ってるんですかね?
サッカー協会が本気で大手企業からの融資や一般人の募金を募ってはどうだろうか。
報酬を引き上げることへの賛否とともに、外国と比較した意見、協会の体質改善を求める意見、リーグ戦の観客動員数の低さを指摘する意見などが見られた。
経営視点でスポーツを語り合う
同日付のダイヤモンド・オンラインが報じた「なでしこたちの『待遇』は4年前より良くなったか」という記事に対しても、経済情報に特化したニュースサービス「NewsPicks」に、2日間で90件近いコメントが集まった。マーケティングや育成戦略の欠如など、成長ストーリーを描けていないことに対する鋭い指摘が目立つ。
外資や海外の有名選手を呼び、世界的なリーグを設立しても良いのではと思います。
正のスパイラルにするには経営のプロを協会にいれるのが一番の近道かと思う。
稼いでいく仕組みを構築しなければ、いくら強くても無意味。
4年前からなでしこの試合が民放で流れるようになっているし、国民の関心度も増してるはず。これを国内リーグにも落とし込めるようにマーケティングしていかなければ、彼女達の待遇は改善しないだろう。
NewsPicksは、ダイヤモンド・オンラインのほかに、ロイター、現代ビジネス、CNET Japan、ギズモード、ライフハッカーなど70媒体を超えるニュースソースを閲覧できる。国際情勢や経済動向など鮮度の高い注目情報が集まるため、ユーザーにはニュース感度の高い人や知識人、ビジネスマンが多く、多様なコメントが寄せられている。
スポーツ情報についても、経営者視点からのコメントをはじめとして、あらゆる観点から率直な感想や意見が集まり、ニュースを多面的に捉えることができる。なでしこ活躍により再燃した待遇問題など、旬な話題には次々にコメントが投稿され、議論は尽きることがなさそうだ。
他社のコンテンツだけではなく、ときにはユーザーの関心に応えるオリジナルコンテンツも発信する。スポーツについては、 Jリーグを経営視点で紐解く企画「ビジネスはJリーグを救えるか」を連載してきた。プロサッカーのみならず、ほかのマイナースポーツの未来、アスリートの未来を考える上でも、たくさんのヒントが提供されている。
7月8日に掲載した記事「名古屋に2万人の新スタジアムを建設できるか?」は、名古屋グランパスの中林尚夫専務のインタビュー記事だ。中林氏のクラブ経営に対する考えや2万人規模のスタジアム構想は、なでしこ代表メンバーの待遇問題が浮上する中、希望がわく話題となった。
ソリューション導く? ニュース起点のバーチャル会議
「経営視点」と表現すると堅苦しいイメージだが、多くの読者の感動を呼んだインタビュー記事もある。
こういう人がいると日本の将来も希望が持てます。
実に面白いチャレンジ。人は、何に引き寄せられるのか?
といったコメントを集めたのは、「元エリート金融マンがJ2のクラブ経営に挑む、『観客を呼ぶ』ための4つの作戦」(4月8日付)だ。35歳でゴールドマン・サックス証券執行役員を務めたエリート金融マン・木村正明氏が、J2のファジアーノ岡山の代表経営者に至るまでの経緯や地元に愛されようと取り入れた斬新なアイデアを語った。これには、鹿児島ユナイテッドFCの広報も、思わず「参考にしたい」とコメントを残している。
また、「女性アスリートは経営者に向いているのか?」(4月1日付)という記事には、
女性アスリートの方、ご意見お待ちしております。
と、当事者からのコメントを誘うユーザーも現れた。NewsPicksでは誰もが構えず、本音で語る人が多い。匿名ユーザーも実名ユーザーも、一般人も業界人も、フラットに意見交換ができる場の空気ができあがっている。「いいね」ボタンで他のユーザーのコメントに賛同を示したり、自分なりの意見を表明することもできる。さながら、ニュース起点のバーチャル会議といった様相だ。
なでしこ代表メンバーの待遇問題についても、選手や協会関係者が議論の和に加われば、画期的なアイデアが見つかるだけでなく、実行力のあるネットワーク、推進する大勢のムーブメントが同時に生まれる......、と期待せずにはいられない。
<企画編集:J-CASTニュース編集部>