新幹線も無人ホームの時代?――JR九州は九州新幹線の新玉名駅(熊本県玉名市)でホームを無人化する計画を進めている。
10月をめどに乗降時の安全を確認する駅員を廃止する予定。新幹線の駅ホームに駅員を配置せず、無人にするのは全国初だという。
気になる安全対策だ
九州新幹線は博多から鹿児島中央まで12駅あり、新玉名駅の乗降客は1日1000人程度と決して多くはない。停車本数も朝夕以外は1時間に上下1本ずつで、停車するのも車両編成が6両や8両と短い。こうした条件に加え、ホーム構造もほぼ直線で安全を確認しやすい構造となっていることから、JR九州は無人化しても支障はないと判断した。
新玉名駅は現在、上下ホームに駅員1人ずつの計2人が配置され、新幹線の車両後方の車掌と一緒に乗降時の安全確認のほか、線路への転落を防止するホームドアの開閉などを担当している。無人化後は車掌が1人でこれらの作業を行うことになる。
利用者にとって、駅員廃止による影響として最も気になるのは安全対策だろう。この点についてJR九州は、ホームを確認できるカメラやモニターを増設したり、線路への転落を検知するマットを設置したりして対応するという。新玉名駅を皮切りに、ほかの駅にも無人化を広めたい考えだ。
本業は営業赤字
JR九州が無人化を進めるのは、赤字が続く鉄道事業の収支を改善する狙いがある。2016年度中の株式上場を目指しているが、2014年度の連結決算は駅ビルなどの非鉄道事業が好調で、売上高や純利益は過去最高を更新したものの、本業の鉄道事業は140億円の営業赤字に陥っており、上場を前にコスト削減などによる赤字の圧縮が急務となっている。
新玉名駅もホームの無人化で現在の駅員16人を10人程度に削減できるという。JR九州の収支改善策は徹底しており、新幹線に先駆けて3月には在来線で32駅を無人化した。これによって在来線の約560駅のうち半数の約280駅が無人になった。
新幹線駅のホーム無人化というニュースに対し、ネット上では「本当に大丈夫なのか」「あり得ない話」「コストと安全を天秤にかけるとは」と安全面から懸念する声が多数上がっている。その一方で「駅員を解雇しないならコスト削減につながらない」「停車駅が多すぎる。必要のない駅を減らした方がいい」といったコメントも並ぶ。
本当に安全な運行ができるか、また新玉名駅の次にどこを無人化するのかなど、注目すべき点は多い。