ミクシィの超人気スマホゲーム「モンスターストライク」のイベントにファンが殺到し、炎天下で並んだ2万人以上が会場に入れなくなる騒ぎになった。熱中症にかかって救急車で運ばれる人が続出し、ミクシィが不手際を認めて謝罪する事態にまでなった。
「人がばったんばったん倒れてる。。。」「炎天下の中、死人が出ないとわからないのか!」「これもう暴動起きるじゃないかと心配だわ」
「水分補給しろって言っても自販機全部売り切れてる」
モンストフェスティバルのイベントがあった2015年8月2日は、朝からツイッター界隈が騒然となった。
投稿写真を見ると、会場の幕張メッセ(千葉市美浜区)まで数百メートルの列が続き、イベント会場内に人があふれて海のようになっている。
モンストことモンスターストライクは、おはじきのようにモンスターボールを弾いて敵を倒すアイテム課金制のゲームだ。イベントは入場無料で行われ、特典として限定キャラがもらえることもあって、朝から大勢の人が訪れた。
開場時間の9時には、すでに長蛇の列ができていた。ツイートなどによると、連日の暑さで9時半ごろから気分が悪くなったと訴える人が相次ぎ、中には、倒れている人もいた。ミクシィでは、11時半ごろに入場制限を行い、ツイッターなどで、並んでも会場に入れないと告知した。しかし、特典を得るためのシリアルコードを入口で配布するとアナウンスしたため、その後も列が続いてJR海浜幕張駅近くまで達した。
正午ごろからは、救急車も計8台が次々に呼ばれて、8~67歳の男女11人が熱中症で病院に運ばれた。美浜消防署によると、いずれも軽症だという。この日の千葉市は、14時過ぎに最高気温が34度にまで達する暑さとなり、救護室では、計83人が手当てを受けた。
「水分補給しろって言っても自販機全部売り切れてるし、会場内のドリンクも売り切れだし死ぬかと思った」
「スタッフどうなってんの? ちゃんと列も作らないから横入りし放題」
ミクシィ「初イベントで予想を超える人が来た」
「人は倒れてるのにスタッフは来ないしゴミはそこらじゅうに放置だし」
ツイッターなどでは、こんな苦情も相次いだ。あまりの混乱から、「心肺停止している人がいる」といったデマまで出回るほどになった。
友達4人で行ったという東京都内の私立大学3年の女子学生(20)は、取材に対し、「9時ごろ並び始めて、16時近くまで6時間以上待ったけど、会場に入れなかった」と明かす。
「熱中症でうずくまったり、しゃがみ込んだりする人がたくさんいました。小さな男の子が倒れて、家族が背中をさすっているのも見ましたね。最後尾にプラカードを持ったスタッフはいましたが、そこから先は姿を見ませんでした。私も、お手洗いに行ったり水分を補給したりできず、かなりつらかったです。結局、入場しなくても特典がもらえる共通のシリアルコードが掲示されたので、イベントの価値が下がってしまってとても不満です」
この騒ぎで、警察も出動しており、千葉西署では、「当初予定の倍の人が来て、会場に入りきれなかったようです。暴動が起きたら困りますので、満員で入れないと広報したり、空いているホールを開放したりするよう指導しました」と話す。熱中症で病院に運ばれる人も続出したが、軽症だったので、業務上過失傷害などの罪で立件することまでは考えていないという。
ミクシィの広報担当者は、取材に対し、実際に会場に入れたのは3万4500人で、2万人以上が入れずに帰ったことを明らかにした。会場のキャパが3万4000人前後だったからだという。初めてのイベントで予想を超える人が訪れたとし、スタッフは約380人いたものの、きちんと案内が行き届かなかったことを認めた。来年もやるかどうかは決まっていないという。
ホームページ上では、3日になってお詫び文を出し、「想定の甘さと運営の未熟さ」が今回の事態を招いたとして、深く反省するとしている。