スマートフォンなど携帯電話の「2年縛り」と呼ばれる2年単位の期間拘束契約が見直されることになった。
総務省の有識者会議が2015 年7月中旬にスマホ契約などの問題点を指摘した報告書をまとめ、2年契約の途中で解約すると9500円という高額な違約金がかかる現行の仕組みの見直しを求めた。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクの大手3社は既に対応に乗り出しつつあるが、今後はどこまで利用者目線での改善が進むかが注目される。
「知らないうちに更新されていた」
大手3社は契約後2年間で解約しないことを条件に、月額料金を割り引く2年縛りを採用。一般的な音声通話の基本料金は「かけ放題プラン」で期間拘束がないと4200円、2年縛りだと2700円となっていて割引率は36%だ。利用者の約9割は後者の2年縛りを選択しているが、有識者会議は前者の期間拘束がないプランについて「割高に設定することで2年縛りの割引率を高く見せかけており、形式的なプランに過ぎない」と痛烈に批判している。
2年縛りの問題点として、契約が自動更新されることや、2年経過直後の1か月以内しか無料解約ができないことなどが指摘されている。つまり、自動更新されるために契約満了がいつか分からず、途中解約すると9500円の違約金が発生するというわけだ。
契約の自動更新に対し、利用者には「知らないうちに更新されていた」「何の連絡もない」などと不満は小さくない。通信エリアや速度などサービスに不満があって他社に乗り換えたり、格安スマホを利用したりしたい場合も違約金がネックとなって乗り換えしにくい状況が生まれている。
一方、2年縛りは契約から2年間の割引が手厚く、2年ごとに携帯電話会社などを乗り換えたりする利用者にとってはメリットとなる。しかし、長期契約者が割引の原資となる高い通信料を負担させられているとの指摘もあり、不公平だとの批判が上がっている。
ネット上でも2年縛りに対し、「勝手に継続されることに腹が立つ」「半年だったら納得できる」「意味不明な仕組み」「違約金が高すぎる」などと不評だ。
「サービス選択の自由を実質的に奪っている」
こうした利用者の不満をくみ取り、有識者会議は自動更新で利用者を囲い込んでおり、「サービス選択の自由を実質的に奪っている」と否定的な姿勢をみせる。高額な違約金についても、初期コスト回収が目的だとする通信各社の主張に対し、最初の2年で初期投資は回収しているとの判断を示した。そのうえでコスト回収の面から2年縛りに一定の理解を示したが、「初回の2年を経過すれば期間拘束は自動更新されず、違約金なしに解約できるプランを作るのが適当」とした。
携帯電話の契約については利用者の不満は大きく、今回のような結論は予想されており、大手3社は先手を打つ形で今春から契約の更新月を通知するメールを送り始めた。さらに違約金なしで解約できる期間を1か月から2か月に見直す考えもある。
しかし、どこまで改善されるかは不透明だ。総務省は改善が進まない場合は拘束力あるガイドラインの作成もにおわせて牽制しており、今後の業界の対応が注目される。