夏本番、学校では体育でプールの授業がはじまっている。
涼しげで楽しそうだが、そんなプールの授業で飛び込み事故が相次いで起こっている。1983年度以降、学校のプールで飛び込みによって後遺障害を負った事故は169件。このうち、「頭頸部」の外傷に起因する重大事故は151件(89.3%)を占めているという。
プールの水深浅く、底や壁面に頭を強く打ちつける
学校での飛び込み事故は、つい最近も岐阜県多治見市の中学校で起きた。2015年6月26日、体育の授業中に男子生徒(14)が飛び込み台からプールに飛び込み、頭を底に打った。男子生徒の様子がおかしいことに別の生徒が気づき、救急搬送した。担当教諭は他の生徒の指導に当たっており、事故を見ていなかった。命に別条なかったが、事故後は全身がしびれた状態だった。
7月14日には、長野県坂城町の県立高校で3年の男子生徒(17)がプールに飛び込んだ際に、底に頭をぶつけた。水中でもがいていたことから、教師と他の生徒がプールサイドに運び上げたが、手のしびれを訴えて病院に搬送された。首を骨折したという。
こうした事故の原因は、学校のプールの深さにあるとみられる。学校のプールは溺水防止のために水深が浅く設計されて、小・中学校の場合は水深0.8メートル以上とされる。その一方で日本水泳連盟の「公認プール施設要領」によると、五輪などの競泳用プールの水深は3メートルを推奨。「プール水深とスタート台の高さに関するガイドライン」で、いかなる飛び込み姿勢であっても安全が確保されるのは「3メートル以上」と記している。
事故のあったプールは、岐阜県多治見市の中学校のケースで水深約1.1メートル。長野県坂城市の県立高校で約1.3メートルだった。
安全を確認せずに勢いよく飛び込んだところ、水深が浅くて事故につながったり、技術が未熟なのに指導者なしでスタート台から飛び込んだりしたようだ。最近は身長170~180センチメートルといった背の高い児童や生徒も少なくない。水深1メートル程度では浅すぎるのかもしれない。