スポーツ紙が芸能人の結婚を報じた後に芸能人が発表するコメントで、肯定も否定もしない例が相次いでいる。その内容は「まだ、詳細が未定」「何かあったときはこちらから報告する」といった具合で、企業が出すIR(投資家向け情報)の常套句を彷彿とさせる内容だ。
企業の発表では、一見報道を否定するかの表現を使っているにもかかわらず、その直後には報道された通りの内容が発表されるという例は枚挙にいとまがない。結婚報道をめぐっても同様の流れができる可能性もありそうだ。
持田香織「決まりました際には、改めてきちんと、私から皆様にご報告をさせていただきます」
IRの常套句が多用されている例としては、最近では2015年3月24日にGunosy(グノシー)が発表した文章が典型的だ。
「本日、一部報道機関において、当社が上場する旨の報道がありましたが、当社が発表したものではございません。また、現段階におきまして決定している事実はございません。今後開示すべき情報がある場合には、当社より速やかに開示いたします」
読み方によっては報道内容を否定しているかに見えるが、実際には同日中に上場承認が発表されている。経済ニュースでは、こういった発表文は「報道を認めた」と受け止めるのが一般的だ。これに近い言い回しが芸能界でも目立っている。
例えばスポーツニッポンは7月20日、人気音楽デュオ「Every Little Thing」(ELT)のボーカル・持田香織さん(37)が15年秋にも結婚することを報じた。「相手は30代前半のスポーツトレーナー」で、結婚の時期は「ELTの全国ツアーがスタートする10月17日の直前が有力」だとしていた。
これに対して、持田さんは7月21日に公式サイトで、
「ただ今出ております情報に関しましては、まだ、詳細が未定のこともありますので、決まりました際には、改めてきちんと、私から皆様にご報告をさせていただきます」
というコメントを発表。表面的には報道を肯定も否定もしていない。
「今一番大事にしているのが子どもたちのことなので...」
テレビ番組で芸能人が似たようなコメントをするケースもある。7月28日、日刊スポーツが爆笑問題の田中裕二さん(50)とタレントの山口もえさん(38)が結婚すると報道。婚姻届の提出時期は未定だが、7月下旬に「都心の住宅街にある高級マンションで同居をスタートさせた」と報じている。田中さんと山口さん、山口さんの長女(8)、長男(4)の4人暮らしだという。
山口さんは7月30日午後、木曜レギュラーを務める中部日本放送(CBC)の情報番組「ゴゴスマ-GO GO!Smile!」に出演。石井亮次アナウンサー(38)が
「実際のところ、どんな感じなんでしょう?」
と「直球」をぶつけると、山口さんは
「そうですね、あの~。記者の方も記事にするのがお仕事だと思うんですよ?お気持ちも分かるんですけど、今一番大事にしているのが子どもたちのことなので、もし何かあった時は、こちら側から報告するので、そっとしてもらえたらなと思います」
と話した。石井アナが
「ということは、今のお言葉を聞くと、なにかあったら...、つまり、まだ結婚とかそういったことはないということですかね?」
と念を押すと、山口さんは
「そうですね」
と応じ、すぐに結婚するわけではないようだ。
持田さんが結婚が決まったことを報告したのは、コメント発表から5日後の7月26日の三重県で行われた野外フェスのステージ上だった。山口さんは「今一番大事にしているのが子どもたちのことなので」と子どものことを強調しており、子どもに配慮しながら発表のタイミングを探っている可能性がある。