人気ゲーム「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)」の監修や脚本を務めたスタッフが、作品について「みんなに自由に想像してもらったほうが刀剣乱舞という大東亜共栄圏は繁栄する」などと発言し、一部ユーザーの間で物議をかもしている。
「侵略戦争に例えるのか」などと反発があり、海外ファンの間にも広がっている。
「刀剣乱舞という大東亜共栄圏」
「刀剣乱舞」は名刀を擬人化したイケメンキャラクターが敵を倒していくオンラインゲーム。「とうらぶ」の愛称で女性を中心に人気があり、海外のファンも多い。作家でゲームデザイナーの芝村裕吏さんが監修、脚本を務めた。
芝村さんは2015年5月30日、コンテンツ文化史学会に出席し、同学会の会長やタレントらと対談した。その様子は動画サイトで生中継され、視聴者が書き起こしたツイートによると、
「みんなに自由に想像してもらったほうが刀剣乱舞という大東亜共栄圏は繁栄するし、妄想からクリエイターが生まれる」
という趣旨の発言をしたようだ。
この場では大きな反響なかったようだが、しばらくしてツイッターなどで「日本の侵略戦争に例える必要があったのか」と波紋を広げた。発言は海外ファンの間でも取りざたされたようだ。
一部ユーザーが謝罪しないのか、とツイッター上で問い詰めると、芝村さんは「謝罪は不要かと」と返答。
「文脈を意図的に外して私の発言の単語だけを引っ張って別の定義をかぶせてご意見されるのとか、周辺諸国の歴史を直視しろという助言を無視して単語禁止からの思考停止はまあ、敵性語禁止してた軍国主義まんまを演じ、正当化している方には何言っても無理です」
と応じた。
芝村さん説明も一部ユーザー納得せず
その後もユーザーから説明を求めるメッセージが寄せられ、芝村さんは7月30日、20回以上にわたって「大東亜共栄圏」について持説を述べたが、反発は収まらない。
同日、製作会社のニトロプラスは公式サイトで、ユーザーから多くの問い合わせがあったとし、
「ゲームはなんらかの思想信条を反映するものではなく、制作過程においても、その意図は存在いたしません」
と声明を掲載。芝村さんの考えが刀剣乱舞と直接関連するかのような発言があったことについて
「ゲームそのものを誤認させるような発言が、制作関係者から行われた事については、弊社の管理不足であったと反省しております」
と謝罪した。さらに芝村氏には「機密保持の観点からも問題になりうる可能性が高いと判断した」とし、同作に関する発言を控えてもらうよう要請したという。