中国市場がふるわない
一方、VWは近年の高成長に陰りが見えてきた。1~6月のグループ販売台数も首位に立ったとは言え、前年同期を下回った。グループ内ではアウディやポルシェといった高級車ブランドは前年同期を上回っているが、販売台数で全体の6割を占める主力のVWブランド乗用車が前年同期比3.9%減の295万台と落ち込んだ影響は無視できないレベルだ。
VW(とりわけVWブランド乗用車)失速で最も目立ったのは、得意としてきた中国市場での苦戦だ。これまで高成長を続けた中国市場全体が1~6月に前年同期比1.4%増の1185万台にとどまり、2014年の年間伸び(6.9%)から急減速した。4~6月の3か月は、各月ともで前年同月比マイナスに陥っている低調ぶり。それだけに中国を成長の足がかりとしてきたVWには痛手が大きい。2014年来のリコール(無償回収・修理)を巡る対応のまずさも客足を遠ざけたとされ、1~6月は前年同期比3.9%減の174万台にとどまった。
苦手とする米国市場で一向に存在感を高められないことも課題。1~6月にVWブランド車は前年同期比2.6%減と振るわず、販売台数17万台はトヨタの7分の1程度、「スバル」(富士重工業)にも10万台近く負けた。ただ、VWは地元欧州では景気回復の恩恵を受け、1~6月は3.7%増の211万台と好調だ。
全体への影響は小さいが、VWは2014年まで15年連続で「輸入車年間販売首位」を続けてきた日本市場で、今年1~6月は3万台弱。猛追する独メルセデス・ベンツ(3万台超)に16年ぶりに首位を明け渡したのも話題になった。7月に入って主力の中型車「パサート」を投入しテコ入れを図るが、年間でもベンツの後塵を拝する可能性がある。
トヨタとVWの年間首位争いは、どちらも決め手を欠き、あるいは弱点を抱えており、「最後まで勝敗の帰趨は分からない」(トヨタ幹部)との見方が多い。