デモに参加したら就活が不利になる――1か月ほど前からネット上でまことしやかにささやかれている噂だ。数日前、福岡県のある市議会議員がブログ記事で噂を取り上げ、デモ参加者の多くが就活で「不本意な結果」に終わると指摘したことから、SNSや掲示板で一気に拡散された。
市議のブログ記事をめぐり賛否両論の意見が出る中、専門家は「まずありえない」と噂を否定する。
デモの参加者は「腐った蜜柑」
安全保障関連法案への反対を表明する大学生グループ「SEALDs(シールズ 自由と民主主義のための学生緊急行動)」が国会前で大規模なデモを実施し、注目を集めている。ネット上では「SEALDs」の活動がマスコミに報じられ始めた2015年6月末頃から、「反体制活動は進路に影響する」という噂が流れていたようだ。
この噂を補強したのが福岡県行橋市の小坪慎也市議だ。小坪市議は15年7月26日に投稿した「#SEALDsの皆さんへ 就職できなくて#ふるえる」と題するブログ記事で、デモの参加者を「腐った蜜柑」と表現、多くが就職活動で「不本意な結果」に終わると指摘した。また、デモの参加者が大学のブランド価値を毀損するという持論を展開し、「同じ箱に入った、腐ってない蜜柑も一緒に廃棄されます」としている。
記事はツイッターなどで勢いよく拡散、
「正論ですね」
「ほんとこれ」
と賛同を示す意見や、
「思想信条差別発言。絶対に許されない」
「組織への同質性を強制するクソのような意見」
といった反論が寄せられた。
ただ、どちらかと言えば反論の方が多いようだ。評論家の古谷経衡さんも29日、「私が面接者だったら、この小坪という議員の書いているブログを真に受けている大学生を真っ先に落とす。それぐらいヒドイ」と痛烈に批判している。