サービス低下の恐れも
金融庁の考えが、持ち株会社ではない地銀への再編圧力を強めることにあるのは間違いない。一国一城の主である地銀の統合は難しいが、持ち株会社なら、旧行は残るため、まだ統合への抵抗は少ないからだ。
同時に、統合済みの銀行グループの効率アップと融合促進という思惑もある。北陸銀行と北海道銀行が経営統合した「ほくほくファイナンシャルグループ(FG)」が2003年に発足したのを手始めに、地銀界の金融グループは約10に達し、今年10月には肥後銀行と鹿児島銀行が統合して九州FGも誕生する。
ただ、統合しても、旧行の間の主導権争いから、経営効率をなかなか高められないグループも多いとされ、「銀行以外の稼げる子会社を増やし、持ち株会社の力を強め、傘下の個々の銀行へのグリップを効きやすくする」(全国紙経済部デスク)ことで、融合を進める狙いがあるというわけだ。
もっとも、規模追求は銀行自体の経営効率は高めるにしても、融資先中小企業などユーザーにとっては、「店舗の統廃合により不便になったり、きめ細かく対応してもらえなくなるなどのサービス低下の恐れもある」(中小企業団体関係者)。
不良債権処理の嵐が吹き荒れた2000年代初頭は、中小企業の切り捨てが横行した。地域経済の底上げに真に貢献する地銀再編はどうあるべきか、金融庁の路線しかないと、単純には言えないのかもしれない。