中国・上海で開かれた国際ロボット展に、繰り返し頭を下げる安倍晋三首相そっくりのロボットが出展されていた。
展覧会は2015年7月8日から11日まで上海の巨大コンベンションセンター「国家会展中心」で開催された。安倍首相似のロボットは会場の一角に展示され、時に来場者の「おもちゃ」となっていた。
女性が笑いながら顔面にパンチ
「安倍ロボット」は、チャコールグレーのスーツにストライプのネクタイを締めた等身大サイズ。皮膚は妙にリアルで、しわも丁寧に作り込まれている。どこかぎこちない笑顔をたたえながら、何度も何度もゆっくりと頭を下げる。
YouTubeにアップロードされている動画には、来場者がロボットの前で足を止め、興味深そうにながめている様子が収められている。スマートフォンで撮影してみたり、至近距離で凝視してみたり、指でツンツン突いてみたり...と思い思いの方法で「交流」している。また別の動画では、笑いながらロボットの顔面にパンチするポーズをとる女性の姿も映っていた。
中国や台湾の複数メディアが「謝罪する安倍ロボット」などとしてその存在を伝えると、中国ネットユーザーの間でも注目を集めた。
「ひざまずくべき!」「南京大虐殺記念館の前に設置しよう」などと盛り上がる人たちがいる一方、「これは中国人のイメージダウンにつながる」「逆に笑いの種にされるよ」などという人たちもいた。
15日付の環球網では、多くの中国ネットユーザーがこれに批判的な態度を示したと報じている。これが事実であれば、会場では「ウケた」ようにみえたロボットも、インターネット上では「スベり気味」だったということだろう。
製造元は「安倍首相を模したものではない」
そもそも「安倍ロボット」はどのような意図があって作られたのか。前出の環球網の記事では、ロボットをつくったとみられる中国のロボットメーカーの関係者が取材に答えている。
紹介されているコメントによれば、ロボットは安倍首相ではなく、中国の有名なコメディアンを模してつくったものだという。外観が安倍首相に似ていることについては認めつつも、関係者は「人々が安倍首相であると誤解した」と主張したそうだ。
ただ、関係者が名前をあげたコメディアンは現在81歳の「おじいちゃん」だ。記者も写真を複数みて確認してみたが、ロボットに似てるとはいえず、主張に無理がある感は否めない。