国の政策の整合性も問われる
そこで経産省が考えているのが、原燃の組織と資金確保方法の見直しだ。原燃の組織は、株主の判断で原燃の事業を縮小できないよう人事や事業計画を経産相が認可するよう改組するという考えで、高レベル放射性廃棄物の最終処分を担う原子力発電環境整備機構と同じ「認可法人」とする案が軸になる見通し。原燃自体を認可法人に改組するほか、新たな認可法人をつくって原燃に業務を委託する案もある。
使用済み核燃料の処理費用については、現行が使用済み核燃料の「発生時」に積み立てる方式で、発電を始めてから使用済み核燃料になるまでの時間、処理費の支払いを猶予する形になることから、これを改め、発電時に電力会社が処理のための拠出金を原燃に支払う方式とする案が検討されている。
こうした考えの根底には、「国策民営」という原子力政策が内包する矛盾を考慮し、これまでより国が前面に出ようという考えがあると言えそうだ。
ただ、電機業界は複雑。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は核燃サイクル事業を民間に任せ続けると「費用の回収ができなかったら『私は抜けます』と言うこともあり得る」と述べ、費用を国が一部負担するなどへの期待を隠さないが(6月8日朝日新聞インタビュー)、同時に、「電力業界も、認可法人化されて日本原燃の経営の手が縛られることには懸念も根強い」(業界関係者)。株式会社を認可法人にするのは異例なだけに、経産省内にも「官民の責任があいまいになる」「民間の活力を阻害する」といった慎重論がある。
7月14日のWGでは、「国の関与をより強める取り組みが必要だ」との意見がでる一方、「(日本原燃を)つぶさないようにし過ぎるとモラルハザードになる」との懸念の声もあった。もちろん、反原発・慎重の立場から再処理を進めること自体への反対の意見もある。
ただ、国が認可法人化してサポートしなければならないこと自体、「原発は経済的な電源」と言っている国・電力会社の基本認識からして筋が通らないとも言える。国の政策の整合性も問われる課題だけに、慎重な議論が必要だ。