米アップルの2015年4~6月期決算は、前年同期比で純利益38%増と好調だった。「iPhone」と「iPad」に加え、2015年4月には腕時計型端末「アップルウォッチ」を発売、勢いは続いているように見える。
ただ、好決算の足元では不安要素も指摘された。話題となったアップルウォッチの具体的な販売台数は、公式にはいまだに明かされていない。
株価急落で4兆円が1日で吹き飛んだ
国内主要紙は2015年7月22日の夕刊で、アップルの四半期決算の内容を一斉に報じた。「『iPhone(アイフォーン)6』の販売が堅調で、6四半期連続の増収増益」(日本経済新聞)、「昨年9月に発売したスマートフォン『iPhone(アイフォーン)6』と『6プラス』の好調な販売が持続した」(毎日新聞)、「スマートフォン『iPhone(アイフォーン)』は『6』『6プラス』の売れ行きが好調で、販売台数は35%増となった」(読売新聞)と、いずれもiPhoneが好決算を支えたとの見方を示している。
だが、素直には受け取れないかもしれない。7月23日付の米ブルームバーグによると、iPhoneの販売台数は確かに35%増の4750万台に達したが、「アナリスト予想の4880万台には届かなかった」と指摘。また7~9月期の売上高見通しも市場予測を下回ったという。決算発表翌日となる7月22日のニューヨーク株式市場で、アップルの株価は「1日の下落率としては14年1月以来最大」となるほど急落し、「時価総額にして320億ドル(約3兆9700億円)が吹き飛んだ」と報じた。
iPhoneは「5」以降、例年9月に発表、発売されており、次期モデルも今年9月のお披露目が有力だ。昨年は画面の大型化、同時に2機種リリースと大いに話題となった。それでも販売台数がアナリスト予想を下回ったとなると、新型iPhoneは相当な期待を背負わされるだろう。相変わらずアップルはiPhoneの新規開発について固く口をつぐんでいるが、これまでのIT系メディアの報道を総合すると、カメラをはじめ各種機能の向上や新色の追加、感圧タッチセンサーの導入といった「うわさ」が流れている。ただ、これらが消費者にとって大きなインパクトとなるかは微妙だ。
さらに心配なのが「iPad」の不振。4~6月期決算では、iPhoneとは対照的に販売台数が18%減と縮小が続いた。
アップルウォッチの販売台数は「無言」貫く
今回は、アップルウォッチが発売されてから初めての四半期決算となった。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はアップルウォッチについて「素晴らしいスタートを切った」とコメントしたが、決算発表では具体的な販売台数は明かさなかった。iPhone6と6プラスの発売後には、「発売3日で販売台数が1000万台突破」とアップル自らアピールしていたのに比べると、アップルウォッチについては今も無言を貫いているのは少々不思議にも思える。
ロイター通信は7月22日付記事で、アップルウォッチの販売台数は「アナリスト予想である200万―300万台の下限だった」というアナリストの試算を紹介。7月19日付の米経済誌「フォーチュン」電子版は、アナリスト27人による販売台数予想を掲載。平均では407万台となった。
アップルウォッチに限らず、腕時計型の「ウェアラブル端末」は、スマートフォンに比べると現時点では爆発的にヒットしているとは言えない。発売からまだ3か月程度のアップルウォッチは、もうしばらく様子を見る必要がありそうだが、足踏み状態が続くと先行きは厳しくなるだろう。