テレビ番組で再婚と妊娠を報告した歌手・SILVA(シルヴァ)さん(39)が婚約者と取り交わしたという「婚前契約書」が、ネット上で話題を集めている。
番組内では、弁護士事務所の協力を得て作ったという契約書が一部公開された。お金に関する問題から「約束事」に類する事項まで、事細かに定められ、どちらかと言えば否定的な反応を示す向きが多い。日本人には馴染みの薄い婚前契約書だが、海外ではハリウッドセレブを中心によく作られており、比較的メジャーな契約のようだ。
「契約書の取り交わしをしなければ結婚しない」
SILVAさんが出演したのは、2015年7月21日放送のバラエティ番組「今夜くらべてみました」(日本テレビ系)。「(婚前契約書の)取り交わしをしなければ結婚しない」と1年半にわたって婚約者を口説き、ようやく作り上げられたらしい。
婚前契約書は「プリナップ」(Prenuptial Agreementの略)とも呼ばれ、夫婦生活に関するさまざまな事柄を婚姻届提出前に取り決めるもの。
弁護士事務所協力のもと、SILVAさんと婚約者が結んだ契約は34か条にわたった。番組ではこれを一部公開。「株取引やFXの投資、宝くじ購入、その他ギャンブルは原則行わない」といった経済的な問題に限らず、「外出による飲酒については、最大週2回まで抑える」「互いの帰宅時間を、毎日相手に連絡する」など「約束事」とも言えそうな事柄まで記された。
ただ、その内容が細かすぎるためか、共演者は困惑していた。お笑いコンビ「フットボールアワー」の後藤輝基さん(41)は「これはしんどいわ。俺は無理やわ」ときっぱり。お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さん(40)も「おーなかなかやなぁ」とやや引きつった笑顔を見せた。
ネット上でも、どちらかと言えば、
「そんな契約書だされた時点で別れる」
「なんか面倒くさそ」
といった否定的な意見が多い。
なぜこうした契約を結ぶ必要があるのか。アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士は、「夫婦円満に生活するためでしょう」と語る。「新婚のうちは揉め事などないと信じて疑いませんが、すれ違いがないほうが稀です。そして違約金を設け、浮気や暴力を心理的に抑止する一面もあります」と説明する。揉め事や離婚の話が持ち上がった時、慰謝料や養育費をめぐり、しばしば夫婦は泥沼の争いへ発展する。婚前契約で金額などを決めておけば、無駄な争いをしなくてすむというわけだ。
契約に盛り込まれる内容は、結婚中の家事、育児、介護の分担方法、離婚時の慰謝料や財産分与だけでなく、「思いやりを忘れない」など夫婦関係のあり方まで多岐にわたる。
篠田弁護士によると、「相手の自由を奪ったり、夫婦関係がギクシャクしたりする内容」は入れない方が望ましく、「離婚のときはどんな理由であっても夫が妻に慰謝料1億円払う」といった不公平な内容は無効となるようだ。
日本では「結婚前に離婚などの話がしづらい」
SILVAさん以外にも近年、芸能人をはじめ作成する日本人夫婦が増えてきた。すでに女優・遠野なぎこさん(35)や大渕愛子弁護士(37)が、夫との間に婚前契約書を交わしているとメディアに明かしていた。
とはいえ、やはり日本人にはまだまだなじみが薄い。前述の篠田弁護士によると、「結婚前に離婚などの話がしづらいこと」も理由のようだ。
一方、海外では婚前契約書を取り交わす文化が定着している。例えば俳優のトム・クルーズさん(53)やブラット・ピットさん(51)をはじめハリウッド映画で活躍するセレブリティの間では頻繁に作られ、しばしば巨額の慰謝料支払いが海外メディアに報じられている。