安全保障関連法案をめぐる攻防の舞台は参議院に移り、2015年7月27日にも審議入りする見通しだ。そんな中、政府・与党から維新の党に「秋波」を送るような発言が目立っている。
例えば安倍晋三首相は7月下旬の3連休に相次いでテレビ番組に出演し、維新の党との修正協議について「お互いの歩み寄る姿勢が必要」と述べ、期待感を示した。ただ、維新の対案は多くの憲法学者が「合憲」だと判断する一方で、集団的自衛権の行使を認めずホルムズ海峡での機雷掃海ができないなど政府・与党案との隔たりが大きく、どの程度まで歩み寄れるかは未知数だ。
衆院の対案提出で「議論もそれなりにかみ合って深まった」
安倍首相は7月21日に出演したBS日テレの「深層NEWS」で維新の党が衆議院の審議で対案を提出したことを「大変良かった」として、
「政府・与党案と維新案が並んで対比でき、議論もそれなりにかみ合って深まった」
などと高く評価。修正協議についても、
「お互いの歩み寄る態度が必要で、お互いに自分の案がベストだと言っているのでは、残念ながら政治の場においてはいい結果は出ないと思う」
と前向きな姿勢を示した。司会者が、
「決していまの法案、そのままじゃなきゃだめだ、という姿勢ではないということですね?」
と念を押すと、安倍首相は、
「もちろん、我々は今の政府が出している法案がベストだと思いますよ?しかし、なるべく多くの党に参加をしていただく、支持をしていただく、あるいは円満な形で成立をさせたいと思っている。今までもそういう形で修正したことはいろんな法律においてはありますから、我々も、当然そういうことも考えながら対応していく必要があるだろう」
と述べ、法案修正に含みを持たせた。