夏休みシーズンが始まり、全国各地のイベントで「ご当地ゆるキャラ」たちが会場を賑わしている。連日35度以上の猛暑日を記録する中、「中の人」は過酷な環境に耐え、子どもたちを喜ばさなければならない。
「ふなっしー」は暑さとの戦いのため、15~30分おきに「梨の妖精界に戻る」そうだが、ほかの着ぐるみの「中の人」も熱中症にならないようさまざまな対策をしている。
着ぐるみ貸出時に「水分補給」の注意書き
各地ゆるキャラたちは「中の人」が熱中症にならないようさまざまな対策を講じている。たとえば、ゆるキャラグランプリ2014で1位に輝いた群馬県のマスコット「ぐんまちゃん」は、着ぐるみの貸出時に水分補給と長時間の着用を避けるよう注意喚起を徹底。利用者には「着用前後に水分補給をする」「着用は20~30分までとし、長時間の着用は避けてください」などと注意書きをしたマニュアルを配布し、口頭でも伝えている。
県の担当者によると、数分着用しただけでも気分が悪くなってしまう人もいるそうで、「これからの時期はイベントも増え、土日は12体すべて出払うこともある。十分に注意するよう呼びかけたい」と話す。
奈良県王寺町の「雪丸」も水分補給と約20分での交代制を徹底。同町によると、着ぐるみのデザインは中の空気がこもらないよう換気がしやすいものにしているという。現在、「中の人」はボランティアの助けを借りて活動しているが、冷却シートを貼ってステージに臨む人もいるそうだ。
着ぐるみの中は湿度が急上昇
船橋市の非公認ご当地キャラ、ふなっしーは2015年7月20日、大阪でイベントに出演。暑くなる季節を迎え、「15~30分で1回、梨の妖精界に戻らないとドライフルーツになるなっし」と話したと東京スポーツが報じた。
日本気象協会によると、着ぐるみで熱中症が起きるのは、温度よりも湿度が高くなることが影響しているという。同会が14年夏、イベントでの「着ぐるみの中の人」の温度環境について調査したところ、当日の気温と着ぐるみ内の温度に大きく違いはなかったが、活動前と後では着ぐるみ内の湿度が急上昇した。湿度が高いと体温調節がうまく機能せず、熱中症になりやすい。
ただ、湿度対策を取るにしても、着ぐるみの形状やキャラクターが激しく動く場合は、対応が難しい場合もある。熱中症対策の基本はこまめな休憩と水分補給になりそうだ。